研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 005/066page

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4 指導展開例

(1) 指導過程の構成

 低学年の理科のねらいが,活動を工夫し,そのことに熱中させることにあるから,指導過程を構成するにあたっては,子どもにじっくり取り組ませる時間を十分に取るよう配慮することが必要である。現在の授業の中で,

 T みなさん,もうできましたか。
 C1 もう少しです。
 C2 もう少し待ってください。
 T それではあと5分待ちます。それまでに仕上げなさい。

というようなやり取りが見られるが,このように時間の制限が加えられると,子どもは十分に思考したり製作したりする余裕がなくなり,創意工夫の芽がつまれてしまう。
 従来の指導過程は,一般に

指導過程の構成

のような型態が取られているが,活動がこま切れのため,子どもが十分に活動できないおそれがある。そこで,低学年の指導過程としては,次のような型態を取るのも活動時間を十分に取るのに有効ではないかと考える。

指導過程の構成

 導入では,教師の創意工夫をはたらかせ,子どもたちに興味や関心を持たせるようにする。低学年では,製作活動などは教師の模倣から入ることが多いので,教師の自作製品を示したり,それを動かしたりするのが効果的である。

 自由試行の段階では,作る→試す→作り直すの過程をじっくり体験させたい。教師の指導活動は,個々の子ども、に向けられ,全員に成就感を味わわせる。
 終末の段階では,子どもが自分のやったことを実演などで相互に紹介しあわせるのがよいのではないだろうか。

 また,低学年の子どもは,「………のために活動する」という明確な目的意識を持って活動を連続することができないのが一般的である。したがって,遊びの活動などで方向性を失うことが多い。
教師としては,常にその遊びを通してねらう事がらをしっかりとふまえ,活動の方向性を見失わないよう配慮して活動させることが理科教育における遊びという点から重要なことである。

(2) 第1次 「風輪をつくる」の指導過程の例

@ 本時の目標 風輪作りや遊びを通して,風についての関心を持つとともに,これからの学習に興味を持つ。


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