研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 014/066page
カバーガラスの一端を,スライドガラス上になすりつけると,血液をうすく塗ることができる
A 固定
血液を塗ったプレパラート(以下塗まつ標本という)が乾いたら,メチルアルコールを1〜2滴かけて塗まつ面にひろがらせ,2分間放置した後にろ紙でアルコールを吸いとり,自然に乾かす。
B 染色
血液の塗まつ標本にエオシンアルコール溶液を充分かけ,4〜5分間染色した後,すぐに水洗いしてエオシンを流してから,メチレン青水溶液を充分かけて1分間染色し,速やかに水洗いしてメチレン青を流し,余分の水はろ紙で吸いとり,自然に乾かす。
C 脱水,封入
乾燥した塗まつ標本を90%アルコールと,100%アルコールにそれぞれ5〜6秒間入れて脱水した後,キシロールに1〜2分間入れて取り出し,カナダバルサム液を1滴たらし,カバーガラスをかけて封入してから検鏡する。(4) 観察には,低倍率からはじめ,高倍率(400〜600倍)で検鏡する。
(5) 血球の形・大きさの測定
赤血球と白血球の形を観察し,接眼・対物ミクロメーターを用いて,その大きさを測定する。
3 結果と考察
一時プレパラートの場合は,血球はみな一様にだ円形をして,うすいオレンジ色に見える。
写真−5 ヒヨコの赤血球と白血球(×600)
永久プレパラートの場合には,写真−5のように,赤血球は非常に数が多くだ円形をしており,まわりはうす赤色に,中央の核は青紫色に染色されて見える。
白血球は非常に少なく,ほぼ円形をしており,まわりは白色で,中央の核が青色に染色されて見える。(図−5)表−1 赤血球の大きさ
径\No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平均 長径μ 12.7 12.0 12.0 12.0 12.5 12.5 11.5 12.5 12.5 12.7 12.3 短径μ 5.3 5.8 6.7 7.2 5.8 7.2 6.5 7.2 7.2 7.4 6.6表−2白血球の大きさ
径\大小の別 大 小 長径μ 12.5 9.1 短径μ 10.1 7.2表−1,2は,いずれも倍率600倍で計測したものである。
この表で,赤血球の大きさは,よく見るとまちまちで,大きいのは,長径12.7μ,短径7.4μから小さいのは長径11.5μ,短径6.5μで,平均では長径12.3μ,短径6.6μぐらいになっているのがよくわかる。白血球でも,大きいのと小さいのではかなりの違いがみられる。