研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 015/066page

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 このような赤血球の大きさから考えて,赤血球が一列になって流れている毛細血管の内径(太さ)は,おおよそ10μぐらいと推測することができる。
また,赤血球が何列に並んで流れているかによって,その血管の内径(太さ)がどのくらいあるかも計測できる。

 

4 血球数の測定

1 準備

 ヒヨコ
 トーマ血球計算器(Thoma Zeiss血球形)
 メランジュール(血球計算器に付属した器具で赤血球用と白血球用が区別されている。)
 ガーゼ 数取器
 ハイエム氏液(食塩1.0g,硫酸ナトリウム5.0g,昇汞水0.5g,水200ml)
 チュルク氏液(1%ゲンチアナ紫水溶液3ml,氷酢酸3ml,蒸留水300ml)

○血球計算器について
 計算盤は厚いガラス板で作られた特殊なスライドガラスで中央近く二つの溝があり,その間が計算室になっている。

図−6 計算盤
図−6 計算盤

 計算室は両側より0.1mm低くなっている。(カバーガラスをかける時,0.1mmのすき間ができる。)中央に方眼線が引いてある。(図−6)  1mm2を3本線で16中区画(1/25o2)に分け,それを更に16小区画に分けてある。
 1小区画の面積は1/400mm2で,深さ0.1mmであるから,
 1小区画の容積は

血球計算器について

となる。

2 方法

(1) 赤血球の計算

 @ 予めハイエム氏液を時計皿に入れておく。

 A 図−1の翼の内側の骨の間を走っている太い血管に針を刺して出血させ,赤血球用メランジュールで0.5の目盛まで血液を吸い上げる。

 B 直ちにハイエム氏液を101の目盛まで吸い上げる。これで血液は200倍に希釈されたことになる。ハイエム氏液を吸う時はメランジュールを回転させて,液面が平等に上昇するようにする。

 採血の際は血液以外の体液を吸わないよう注意する。血液を所要量以上に吸い過ぎた場合はガーゼをメランジュールの先端に瞬間的に触れ余分の血液を少しずつ吸いとらせ,正しい目盛に合わせる。

 C 希釈が終ったら,メランジュールの両端を指頭で完全にふさいで約30秒間上下に強く振った後,小滴をガーゼで吸いとり,なお30秒間約100回くらい強力に振とうする。

 D 計算盤をきれいなガーゼでよくふき,カバーガラスを滑りこませるように両方のひとさし指で強く押しながらのせ,計算盤に密着させる。密着した場合は接合部にニュートンリングができる。ニュートンリングが必ず見られるようにまた,計算盤を振ってもカバーガラスが落ちないように密着させなければならない。

 E 再びメランジュールを30秒間100回位強く振り,最初の2〜3滴を捨て,次の1滴を計算室に入れる。それにはゴム管を折り曲げて,図−7のように持ち,先端を計算室の片側に接近させ,ゴム管を圧迫すれば,希釈血液は毛細管現象で計算室内にひろがる。この時,空泡が入ったり,液が溝中にあふれ出たりしてはいけない。

図−7 計算室に血液の入れ方
図−7 計算室に血液の入れ方

 F 血液の沈降するまで2〜3分間水平に静置


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