研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 021/066page
〔図1〕 10℃の水中から84℃の湯に温度計を入れかえた時の応答
〔表1〕 10℃の水中から84℃の湯に温度計を入れかえて測った時定数など
温 度 計 時 定 数 84℃を示す
までの時間 アルコール 7.0秒 55 秒 水 銀 4.5秒 25 秒 サーミスタ 1秒以下 2.5秒サーミスタ温度計が非常に応答が速いことがこの数字をみても明白である。
(2) 12℃の室外から22℃の室内に入れかえたときの応答
図2に示したように水中の場合と比べて応答速度は遅くなっていることがわかる。
また,この様に遅くなると温度計の種類による差は小さくなることがわかる。この測定の際,室内は暖房のため空気はそよ風の程度に動いており,無風の場合と比べれば応答は速いと思う。
また,表2に示した数値からもわかるように水の場合と比べると温度計で大気温度などを測定する時は,10分位はそのままにしておかないと真の温度を測ることはできない。〔図2〕 12℃の室外から22℃の室内に入れかえたときの応答
〔表2〕 上の〔図2〕の実験のデータ
温 度 計 時 定 数 22℃を示す
までの時間 アルコール 1分5秒 9 分 水 銀 1分 9 分 サーミスタ 24秒 9 分(3) 熱伝導度の相異と応答速度
水と空気の場合の差は主に熱伝導度の差によるものと言えるが,つぎの実験値はこのことを裏付けるものと思う。
〔表3〕 20℃の液体から52℃の液体の中にサーミスタ温度計を入れかえたとき
液 体 熱伝導度
J/cm.S.K 52℃を示す
までの時間 水 5.8×10-3 2.2秒 四塩化炭素 1.1×10-3 3.4秒
3 温度計の誤差
温度計の指示値が真の温度値を示さない理由には,つぎの3つが考えられる。