研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 022/066page

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(1) 温度計の種類,製作法の限界,検定の上で認められている許容誤差,温度計の級による精密差の段階などによるものは購入の時点で既にあらわれている誤差である。(表4)

(2) 経年変化によってでる誤差
 ガラス製棒状温度計の場合には年月がたつにつれて僅かながら収縮してくるので,例えば真の温度より高い指示値を示したりする。
 他の温度計においても大なり小なりこのような現象が見られる。(表5,表6)

(3) 使用方法が適切でないことによって生ずる誤差
 棒状温度計の場合,水銀溜の部分だけが液中にある程度で測定したり,斜めに傾けて測ったりすると,真の温度値を示さない。
また(2)の経年変化を考慮して毎年1回位は,0点補正をするなどの処置をしてないで使用する場合もここに入れてよい。(図3,表7)

(4) 実験例(その1)
 新購入温度計と標準温度計との比較

〔表4〕

標準温度計
の指度
左 と の 差
例 1
例 2
例 3
例 4
89.9
-2.8
-2.6
±0
-1.0
79.8
-2.0
-2.0
+0.4
-0.8
61.9
-1.6
-1.9
-0.1
-0.5
41.4
-0.4
-0.5
+0.2
±0
31.9
-0.1
-0.4
±0
±0
20.9
-0.3
-0.4
±0
+0.1
10.4
±0
-0.1
±0
+0.4
0.0
+0.2
±0
-0.1
±0
備  考
アルコール温度計
(-5°〜 105°)
水銀温度計
(-5°〜 105°)

 この表からみると,水銀温度計では検定公差の範囲内にあるが,アルコール温度計では特に高温における指度差が大きい。
 実験において,温度をデータとしてとりあげる場合は,アルコール温度計は注意を要することがわかる。

 表4で使用した温度計の目盛は1℃刻みのものである。

(5) 実験例(その2)
購入後約10年経過した棒状温度計と標準温度計との比較

〔表5〕

標準温度計
の指度
左 と の 差
例 1
例 2
例 3
例 4
0.
0.
0.
0.
0.
18.9
-0.5
-0.6
-0.6
-0.3
40.6
-1.0
-1.2
-1.9
-0.8
61.4
-2.4
-2.2
-2.0
-0.3
75.6
-4.1
-4.3
-1.6
-0.6
86.9
-5.7
-6.1
-1.4
-0.4
備  考
アルコール温度計
(-5°〜 105°)
水銀温度計
(-5°〜 105°)

 上の実験では0℃における指度が正しく0℃の温度計だけ4本とりあげて,他の温度における指度を比較してみたものであるが,特にアルコール温度計の誤差が温度上昇につれて大きくなっていることに気づいたと思う。

(6) 実験例(その3)
購入後約10年経過した32本の棒状温度計の0℃における指度

〔表6〕

アルコール温度計
水銀温度計
 +0.7℃ 1本
+0.2  1
 ±0.  1
−0.2  2
−0.8  1
−1.0  1
−1.3  2
 +0.5℃ 1本
+0.3  2
+0.2  4
+0.1  5
±0.   7
−0.1  2
−0.6  2


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