研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 023/066page
(7) 実験例(その4)
温度計使用のしかたによって誤差を生ずるのは当然であるが,ここでは,実験上止むを得ないような用い方をしたとき,その用い方によってある程度の誤差が生ずる例を取りあげた。
棒状温度計の球部の深さによって指度が変化することを示す実験例〔表7〕
(イ) (ロ) アルコール温度計 85.0 89.0 水銀温度計 90.0 90.5上の実験のように強制的に室温の風を送ったのは,室外などではこの様な場面もあろうかと思って想定したものであり,アルコール温度計に特に大きな誤差が見られた。
一般に,水銀温度計の場合,つぎの式によって,温度補正をすればよいとされている。
測定すべき温度 t に対し水銀柱の一部がその温度計の目盛りで a 度分だけ露出して平均温度 t。になっているときの補正値 △ t は
△ t = 0.000157 ・ a (t−t。)
を用いる。
今回の実験に,この式をあてはめると
△ t = 0.000157・47(90−21) = 0.509
となり,実験値と一致していることがわかる。
4 温度計,とくにサーミスタ温度計を用いた温度計の使用例
これからでてくる実験例には時定数の小さいサーミスタ温度計による事例を上げるが,精度においては水銀温度計よりも低いのであるが熱的現象をとらえる場合は温度そのものよりも温度差を知る事が意味があることが多い。
その場合はサーミスタ温度計で十分であり,時定数の小さいことが大きな役目を果すことになる。
また,測定部(水銀温度計の球部に当る)が小さいことも利用の面で多用な用途をもつものである。(1) 液体の蒸発熱
この実験は蒸発熱が,いかに大きいかを認識させ,定量実験への足がかりとするものである。
スプレー内の水温 14.5℃
室内の気温 14.2℃
噴霧の温度 9.0℃A エタノールの蒸発熱
※ 測定法は水の場合と同じ
スプレー内の液温 14.0℃
室内の気温 14.2℃
噴霧の温度 5.0℃