研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 024/066page

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B エチルエーテルの蒸発熱

図5

   エーテルの温度   13.5℃(実験前)
   室内の気温      14.2℃
   試験管内の気温  -10.0℃

 エーテルの蒸発により24.2℃も試験管内の気温が下ることがわかる。

 以上,蒸発熱測定の温度計はサーミスタ温度計を使用することによって,その大きさを生徒全員(クラス)に指針の動きで見せることができる点演示実験として適当であろう。

(2) 純物質,混合物の凝周点測定(その1) (目で観察しながらできる)

 パラジクロールベンゼンやナフタレンの凝固点の測定は中学校の教材でとり上げているが,ここでは,純物質および混合物について凝固するときの両者の違いを目で確めながら同時に凝固点も測定する方法をとり上げた。
 この実験では,検出部の小さいサーミスタ温度計の効用を十分に発揮できる。

図6

@ パラジクロールベンゼンの凝固点

 径70mmの時計皿にパラジクロールベンゼン1gをのせ,るつぼ鋏で時計皿をもち,アルコールランプの炎で静かに時計皿の周辺部を均等に加温し溶融する。

 つぎに空冷すると,温度が下り凝固点に達すると,一時に結晶が成長して全部凝固する。
 この時の様子をルーペで観察する。

 凝固したら再びアルコールランプの炎で前と同様にして溶融させる。
 つぎに空冷してゆくが,今度は結晶の析出が見えた瞬間,サーミスタ温度計を図のようにさしこみ,温度を読む。

 実験値53℃(当日の室温25℃)
ナフタレンでは77℃で凝固した。

A パラジクロールベンゼンとナフタレンの混合物の凝固点

 パラジクロールベンゼンとナフタレンを55:45(又は50:50)の比で混合した試料を1g採取し,上と同様の方法で観察し測定する。

 この実験では,35℃(又は42℃)付近で,ナフタレンの一部が結晶析出するが,そのまま,冷却を続けると28℃付近で再び共融混合物の結晶化がみられるので,高校生ではそこまで観察計測させるとよい。
 35℃(又は42℃)で析出するナフタレンの結晶が特に美しいので,見せてやりたい実験である。


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