研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 026/066page

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5 サーモカップ,マグネチックスターラーおよびサーミスタ温度計の組合せによって測定するいろいろな熱量 (かんたんで,手早く,誤差の小さい計測)

サーモカップ
 発泡スチロール製カップで蓋付きである。
 保温力が高く60℃付近ではマグネチックスターラーで攪拌していても温度降下率は毎分1℃以下である。
 芳香族化合物,クロロフォルム,四塩化炭素,アセトン,エーテルなどに溶けるが一般の無機水溶液や低級アルコールには侵されない。

 (1) 氷の融解熱

図10

方法 
 サーモカップに水10Ogを入れ質量と温度を測って攪拌する。
 予め冷蔵庫(8℃前後)に入れておいた氷(0℃の氷と表面に水)を約10g(測らなくてよい)手早く表面の水をふいてカップに投じ,蓋をして撹拌しながら温度を測る。1〜2分のうち最低の温度が記録できたら全体の質量を測る。

実験例
 氷 11g,温度降下 10℃

 氷の融解熱 81 cal/g (便覧値79.7)

 (2) メチルアルコールの水への溶解熱

装置 (1)と同じ

方法 水45g(2.5モル)にメチルアルコール3.2g(0.1モル)を溶かして温度差を測定する。

実験例 温度上昇 3.0℃

溶解熱 50cal/g (便覧値49.8)

 (3) 塩化カリウムの溶解熱

装置(1)と同じ

方法 水120mlに塩化カリウム5gを溶かしたときの温度差を測定する。 (モル比で100:1)

実験例 温度降下 2.3℃

溶解熱 54cal/g (便覧値55.5)

 (4) 1M - NaOH と 1M - HAc (酢酸)の中和熱測定

装置 (1)と同じ

方法 2つの溶液を各25mlづつとり混合して温度差を測る。

実験例 温度上昇 6.07℃

中和熱 12.1Kcal/mol (便覧値13.2)
 なお,この場合 1M - HAc をビューレットで滴下し,1ml滴下するごとに記録計で打点させると25ml付近で中和点を見つけることができ,中和滴定と中和熱測定が同時


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