研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 035/066page
●NaI シンレーターによるγ 線の波高分析
実測した例としてCs137について示しておく。
つまり,Cs137から出るγ 線をNaI と光電管の組み合わせで捕えて,得られる出力パルスのスペクトルを,波高分析器で測定したものである。
スペクトルは,光電ピーク,コンプトン電子による巾広い分布,対電子によるピークに3分されるわけであるが,Cs137のγ 線はエネルギーhv oが小さいため対電子ピークは出ていない。このあたりでの実験教材としては
○γ 線の吸収と,その吸収曲線
をあげることができる。ここで考えられることは・吸収板を用いて,吸収の度合を測ること。
・吸収曲線を求めること。
・吸収の度合は原子番号が関係すること。
・I = I oe-μx
・半価層や吸収係数を求めること。
・吸収係数は原子番号に関係があること。(1) γ線の吸収実験と吸収曲線
@ 線源
線源としてはCo60を用いる。Co60は半減期 5.3yで弱いβ 粒子(313kev)を放射してNi60に壊変。
このNi60は1.17Mev と1.332Mev のγ 線を相次いで放射する。A 装置
実験(1)の場合と同じ,理振規格のGM放射能検知装と自作の測定台。
B 測定結果
バックグラウンドは34cpm
次表に鉛板の場合の測定値を示す。
厚さmm 全計数率cpm 0
0.3
0.6
0.9
1.2
1.5
1.8
2.1 906
713
576
470
383
312
265
214・測定値のまとめ方については前述しているので,ここでは省略する。
グラフを描いて(次ページの図12)これから半価層 d を読みとると0.93cmを得る。
・従って,線型吸収係数 μ は