研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 039/066page
バレーボールとしか示されなくなった。(表2)
したがって,新学習指導要領に基づいてバレーボールを選択して指導しようとすれば,まず,これを構造的にとらえ,個人的技能や集団的技能などを構成することが必要である。これによって,技能(個人的技能,集団的技能及びゲーム)やこれらの技能の相互のかかわり合いを明らかにすることができる。
これができたら,生徒の実態を考慮しながら指導できるようにするために,VTRや観点をきめた観察記録用紙などを用いて,これから学習させようとする生徒のゲームの様相を観察・記録し,これに,過去の経験や実践記録などを加味して,この様相を診断し,さらに,これに基づいて,各学年段階にゲーム水準を定めることが必要と考える。
これによって,文献研究などから構造的にとらえられたバレーボールの技能が,各学年段階の生徒のゲームのなかで,どのようにプレーされているかが明らかになるので,各学年段階の生徒の実態を考慮した具体的な学習内容や,学習過程を作成することに役立てることができる。
新学習指導要領では,このような教材研究に基づく体育の学習指導を私達体育教師に期待しているものと考えられる。
そこで本研究は,高等学校普通科男子生徒のバレーボールのゲームをVTRで録画し,それを観点をきめた観察記録用紙に観察・記録して,(1) ゲームの様相を分析・診断し
(2) これらに基づいて,各学年段階に応じたゲーム水準を定め新学習指導要領に示された大綱的な内容(バレーボール)から,各学年段階の生徒の実態を考慮した具体的な学習内容や,学習過程を作成する一資料を得ようとしたものである。
2 研究の方法
(1) 対象
福島市内の県立高等学校普通科男子生徒150名(1年生49名,2年生49名,3年生52名)を観察の対象とした。
(2) 期日及び観察の方法
VTRによる観察は,昭和53年10月20日(金)9時30分から12時20分まで実施した。なお,各学年とも身長順に8班を編成し,それぞれのゲームを下表の通りVTRで録画した。
学年 観察時間 ゲームの観察時間 1 9:30〜10:201班対2班 10分
3班対4班 〃
5班対6班 〃
7班対8班 〃 2 10:30〜11:20 3 11:30〜12:20(3) 記録の方法
前に,VTRで録画したゲームを昭和53年11月20日(月)に再生し,それをバレーボールに経験ゆたかな二人の体育教師が,次の手順で,観察・記録にあたった。(所要時間約4.5時間)
まず,一人がVTRで録画したゲームを再生し,一つ一つのプレーを読みとり,他の一人がそれを次のような「ゲームの観察記録用紙1」に各学年ごとに逐次記録をとった。