研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 042/066page

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失敗する割合が高いのは,「腰の回転によって,スピードを加えたり,打つ方向を変えたりすることが技術的に難しいので,短期間に習熟しきれないところによるものと考えられる。

 以上のことから,サーブは,弱いけれども,打ちやすい「アンダーハンド・サーブ」や「フローター・サーブを学習内容として取り上げ,これにさらに習熟させて,成功率を高めることによって攻撃を含むパスラリー(パス・トス・スパイク)をゲームに展開させる必要があると考える。

(2) パス,トス,スパイク,ブロックの様相

 観察結果によると,ゲームでプレーされた技能は,パス(オーバーハンド,アンダーハンド,ワンハンド),トス(二段,三段),スパイク(ダイレクト,二段,三段),ブロックであった。図4は,これらの技能の総数に対するパス,トス,スパイク,ブロックの技能数の割合を学年別にまとめたものである。

図4 パス,トス,スパイク,ブロックの様相1

 これを学年別にみると,1年では,パスは77%と最も多くプレーされ,トスやスパイクのプレーは少なく,したがって,ゲームは,「パスによる返し合い」が多くなっていることがわかる。つぎに,2年では,トスを上げてスパイクをするプレーが多くなり,わずかに,ブロックもみられた。
 さらに,3年では,トスとスパイクのプレーの割合は,40%を占めるようになり,役割を決めて打ち合う傾向がみられた。

 技能別にみると,パス=レシーブは,オーバーハンド,アンダーハンド,ワンハンドでおこなわれ,そのなかでも,アンダーハンドでプレーされる割合が多い。つぎに,トスは,学年が進むにつれて,二段トス,三段トスをオーバーハンド,アンダーハンドで上げるようになり,そのなかでも,オーバーハンドで三段トスを上げる割合が多い。

 さらに,スパイクは,ダイレクト,二段,三段のスパイクが打たれているが,なかでも,三段スパイクの占める割合が多い。ブロックは,2・3年で,トスをあげてスパイクをするようになるので,これを阻止するために,わずかではあるが,プレーされている。
 図5は,プレーされた技能の総数に対するパス,トス,スパイク,ブロックの成功,失敗数の割合を学年別にまとめたものである。

図5 パス,トス,スパイク,ブロックの様相2

 これによると,ゲームでプレーされたパス,トス,スパイク,ブロックの総数に対する各技能の失敗数の割合は,おおよそ,1年では7対3,2年では8対2,3年では9対1となっており,学年が進むにつれて,パスなどの失敗率が減少していることがわかる。


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