研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 061/066page

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 機器が充実していない              65.8%
 組織的な研修時間がとれない          45.2
 視聴覚教室がない(専用でなく使いにくい)   44.5
 機器の操作技術,教材製作技術が未熟    36.7
 機器活用のための消粍品が少ない        31.3
 機器の指導計画への位置づけがむずかしい   30.9
 教材製作に必要な機器が少ない         28.6
 教師の負担が大きい                18.8
 機器の老朽化に伴い故障が多い         17.9
 機器や教材の管理がむずかしい          14.0
 放送番組や市販教材が生徒の実態に合わない 11.5
 地域的に電波受信等に障害がある         9.0
 授業の速度がおくれる                 5.1
 あまり教育効果があがらない             2.0
 教師と生徒との人間関係を阻害する         0.5

 学校種別のデータを示していないが,小学校,中学校,高等学校,特殊学校とも,ほぼ同じような傾向がみられるが,小学校では準備時間の不足が最も多いのに対し,中学校,高等学校では機器の不足が少差ではあるが多くなっている。

 全体としてみるとまだ教育機器の不足が大きな問題としてあげられているものの,機器・教材の準備時間の不足,研修時間の不足,消粍品の不足機器の指導計画への位置づけなど,機器を使用する上での問題点が多くなってきていることがわかる。

 また,これまで,教育機器を利用すると授業が遅れ逆効果であるとか,あまり効果があがらない教師と児童・生徒との人間関係を阻害するなどの問題点もよく聞かれたが,今回の調査ではいずれも低い数値をしめし,教育機器への理解,必要性が広く浸透してきているように思われる。

 

V 調査結果のまとめと今後の課題

1 調査結果のまとめ

 以上,調査した結果について分析を試みてきたが,これを要約するとつぎのようになる。

   (教育機器の所有状況)
○ 小・中・高・特殊学校に共通して高い所有率をもつ機器は,テープ式録音機,電蓄,OHPスライド映写機,テレビ受像機,音声放送設備スクリーンで,特に低い所有率の機器は映像放送設備,コンセプト映写機,反応分析装置,LLスライド作成機などである。

○ 学校種別ごとで,他の学校より高い所有率を示す機器は,小学校は映像放送設備,シート式磁気録音機,中学校は反応分析装置,高等学校はVTR,テレビカメラ,特殊学校は実物投影機である。

○ OHPは小・中学校で1.5学級に1台,高校特殊学校で3.7学級に1台,スクリーンは小・中学校で1.0学級に1つ,高校・特殊学校で3.0学級に1つの割で設置されている。

○ 学校種別ごとの全体の所有率は,特殊学校,小学校,中学校,高等学校の順にわずかではあるが高まっていく。

○ 昭和49年の調査結果との比較では,8m/m映写機,16m/m映写機は保有率であまり変化がなく,テレビ受像機は白黒テレビが減少し,カラーテレビが3倍近くふえている。また,OHP,VTRの増加も2倍近い。

○ 全国との比較では,小・中・高校ともわずかに全国平均を上まわっているが,所有数では逆にほとんどの機種が下まわっている。

○ 新しい教材基準による充足率は1,2の機種を除いてかなり低い率をしめす。

○ 地区別にみた小・中学校の機器の所有状況は全体的に高い地区と低い地区の差はみられる。
 また,地区による所有機器の特色がみられる。

○ 学校規模別によると,規模に関係なく高い所有率を示す機器(テープレコーダー,OHP,スライド映写機,テレビ,スクリーン)と規模が大きくなると所有率が増す機器(テレビカメラ,VTR,反応分析装置〉がある。
 また,大規模校ではOHP・テレビの1台あたりの学級数が増す。

   (教育機器の利用状況)


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