研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 062/066page

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○ OHP,テープレコーダー,スライド映写機は学校種別に関係なくよく利用されており,これに小学校はテレビ受像機が,中学校はTP作成機,テレビ受像機が,高等学校は16m/m映写機,VTR,そして特殊学校ではテレビ受像機,16m/m映写機が利用度の高い機器として加わる。

○ 小学校では社会,理科,道徳,中学校は理科,社会,英語,高等学校は理科,社会,保健体育特殊学校では国語,社会,体育での利用が多い。

○ 理科,社会は各種機羅を利用している。OHPはどの教科にも利用されている。

   (教育機器利用についての研修)
○ 教育機器に関する校内研修は半数以上の学校で実施している。

○ 研修内容は機器についての実技等の研修が多い。しかし今後は授業における教育機器の活用法についての研修を希望している。

○ 教育機器についての校外での研修経験者は増加している。

   (教育機器利用上の問題点)
○ 機器・教材の準備時間の不足,機器の不足を半数以上の学校で問題点としてあげている。

○ 教育機器を実際に利用する段階での問題点が多くなってきている。

2 今後の課題

 今回の調査によりこれまで述べてきたような資料を得るとともに,次のような今後に残された課題がみいだされた。

@ 教育機器・施設の数を増す必要がある。

 学校によっては機器そのものがない学校もあるが,全国平均との比較からもわかるように,機器はあるが1台だけという学校が目立つ。
 テレビがあっても学校に1台ではVTRが普及しても,即利用に結びつかない。OHPのように“いつでも”“どこでも”“だれでも”利用できるように,今後は特に機器の所有数を増す努力が必要のように思われる。
 このことが,問題点の「機器の不足」はもとより,「準備時間の不足」を解消することにもなり,活発な利用を促すものと考える。

A 教育機器の授業への位置づけの研究をすすめる必要がある。

 校内研修内容の調査から,今後は教育機器の授業での活用法の研修を望んでいる。
 また,指摘された問題点の中にもこのことがみられる。

 今後は機器の操作等の研修にとどまらず,また,単に教育機器を授業に導入するということから,教育機器を授業の中で“どこに”“どのように”位置づけたらよいかを検討する段階にきている。
 すなわち,学習指導等を支えているいろいろの条件をあらゆる角度から検討し,構造化された学習成立の1要素としての教育機器の果す役割を明確にし,指導過程の中に位置づけることが必要であり,その研究が望まれる。

B 教育機器に対する意識を高めるための研修方法・内容の改善をはかる必要がある。

 教育機器の利用の調査結果からもわかるように小学校では,半数以上の教師が利用する機器の数も多く,1部の教師の利用にとどまらず,どの教師も利用するようになってきている。しかし,中学校ことに高等学校では少なく,1部の教師による利用の傾向が残っている。

 また,校内研修もよく行われ,教師の校外での研修経験者もかなりの数になるが,機器の積極的な利用に結びついていない。
このようなことから,今後は教育機器に関する研修の方法や研修の内容の改善によって,機器の多面的な利用のしかた,効果的な利用のしかたを身につける必要がある。

C 調査方法・内容の改善と調査研究の積み重ねが必要である。

今回の調査のまとめをすすめている中で,回答にまぎらわしいものや,記入のしかたで,調査者の意に反するものなどもみられた。このことは機器や用語の理解の不足や定義づけの不充分さによって起ったものと思われる。

 また,調査項目の設定にもなお工夫する余地があり,さらに,利用については実態を的確にとら


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