研究紀要36号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究 (第1年次) - 007/022page

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A 評価領域・項目について

○ 文部省の評価基準の領域は,ひじょうに多くの評価項目を設定しており,それがとくに中項目から小項目におりていくため,煩雑な観が強い。東京都の評価基準も,“評価基準の構成”の欄で「学校が本来の目的達成のため行う教育活動全般を対象としてなされるもの」としているように項目数が多い。いずれも総花的であると評されている。

B 評価方法について

○ 高野桂一氏によれば,文部省の評価基準は「教育活動そのものの評価と経営活動の評価との識別が必ずしも十分になされていず」※11東京都の基準も中項目から評価単位までおりて吟味してみると「経営活動と教育活動の識別がなお,十分でない。」※11といわれる。

○ コンサルティング研究会のチェック・リストは,科学化と合理化,その量の面が強調されている。どちらかというと質の面での評定に物足りなさが出てくる。前記の高野桂一氏は,「100項目にわたる質問の中には,まだ未整理の面のあることに気がつく」と述べる。

(2) 本県の一般的傾向としての問題点

 学校経営研究協議会における学校経営評価の実態,あるいは校長会等の研究から,一般的な傾向として次のような問題のあることをうかがい知ることがごできる。

@ 学校経営には,経験が重要な要件になる。したがって経験を重要視する経営になりがちである。
A 経営評価の必要性は理解していても,評価基準を基にした経営評価の実施には取り組めないでいる。
B 「学校経営の反省」は行っているが,主観的ふん囲気的であることが多い。
C  経営評価の改善や研究に取り組もうとする学校のための内容・方法に関する資料が不足している。

 このような状態の現出した要因として次のようなことが考えられる。

@ 自校化した評価基準の設定がむずかしい。
A 経営評価についての教職員の理解が不足している。共通理解を得ることがむずかしい。
B 既存の評価基準は,総花的で煩雑なものが多いという印象,またはかつて利用したことの体験。
C 客観的な評価ができるのかという問題。
D 校務が多忙で経営評価の実施が困難。しかし,「反省」でも学校経営はできるという自信。

 これらの問題をどのようにして解決し,実際の使用にたえる経営評価の方法を確立するかがこの研究の大きな課題である。

3.学校経営評価研究の立場

 ここで,学校経営評価について,その概念,評価の主体,評価の内容(ねらいや領域構成),評価の方法といったことについて整理し,研究上の立場を明らかにしておきたい。

(1) 学校経営評価の概念について

 学校評価と学校経営評価という二つの表現があるが,あえて学校経営評価としたのは,教育目標の設定から評価にいたる,一連の教授活動を支援促進する経営過程−Plan,Do,Seeのマネージメント・サイクルによる評価の機能を重視したことによる。学校評価といっても学校経営評価といっても,その評価の目的が学校経営の改善をめざしたものであればとくにこだわる必要もないが, PDSの経営理論に位置づく評価の意味を強調して学校経営評価とした。このような考えから学校経営評価の概念を次のようにおさえた。

 教育を行う機関としての学校が,その教育目的・教育目標をどの程度まで,どのような組織・運営によって達成しているのかを総合的・客観的にとらえ,その評価に基づき学校が行う活動の改善を図る一連の経営活動

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