研究紀要36号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究 (第1年次) - 008/022page
学校経営評価をこのように定義づけたが,現場の学校経営評価の実態はどうであろうか。本年度の研究をすすめるにあたって,以ドに述べるそれぞれの観点に従って調査を行い,事例を収集し,学校経営評価のあり方をさぐる資料を得ようとするものである。
(2) 評価の主体について
評価の実施者を,校長,教頭及び教職員の全員と考える。
これまでに,学校経営の主体者である校長とその校長の意志決定に参加する教職員の役割について「1−(3)研究上における学校経営概念」(P.3)で述べてきた。すなわち,マネージメント・サイクルのPlan(計画)−Do(実施)−See(評価)の連続した流れの中で次の計画に生かされる評価を考え,この評価→計画の過程に教職員がかかわることが教職員の経営参加なのである。「参加とは,あくまでできるかぎり高度の意志決定に参加することであり,それはすぐれて現実の学校経営評価を基礎とした計画作成段階に重点づけられるものだからである。」※12と述べられているが,評価の段階にはたらく意志決定過程への参加の効果が,教職員の意識の向上,ひいては教育効果の向上に結びつくことを期待している。
本研究では,評価の実施と経営方策立案に至る過程での組織の内容と教職員の参加について事例を収集し,検討を加える。(3) 経営評価の内容(ねらいや領域構成等)について
学校経営評価を実施するときに評価の対象とする領域やその内容,評価項目は,何によって選択され,規定されてくるのであろうか。多分に,評価のねらい,例えば,教育目標の具現の状況をつかもうとか,経営活動の改善点を発見しようとか,経営評価のねらいに対しての重点のかけ方置き方の違いによるものと思われるが,その実態をとらえたい。また,そのねらいの置き方や学校独自にある運営組織等の違いによって評価領域やその内容,評価項目等は,学校ごとにそれぞれ異なるものと思われる。事例収集によりその実態をとらえ,検討を加えていこうとするものである。
(4) 評価の方法について
経営評価の方法には,一定の評価基準によるものや評価領域や評価項目に従って文章記述や話し合いによる評価などのあることが考えられる。現場の学校がどのような評価を行おうとしているのか,評価用具はどんなものか,事例を収集し,学校経営の実際に活用される評価用具作成の資料を得ようとする。
W.学校経営評価の事例とその考察学校経営の評価(反省)を研究的に行っている学校の学校経営評価に関する事例(校長・教頭の考え方も含む)を収集し,事例の分折,検討によって学校経営評価の基本構想をたてる資料を得ようとした。
本年度は,学校種別,学校規範.地域等を考慮し,事前に資料提供の協力を依頼して実施した。1.事例調査の内容と方法
*調査内容の項目は,次のとおりである。
(1) 学校経営評価のねらいに関すること
(2) 学校経営評価計画の設定と手順に関すること
(3) 学校経営評価の内容と実際に関すること
(4) 学校経営評価実施上の問題点等に関すること上記の4項目には小項目を付し,選択と文章記述及び校長,教頭との面接による補充調査を行った。
事例調査の内容とねらいは,表2に示すとおりである。