研究紀要第37号 登校拒否に関する研究 - 002/022page
イ 恐怖症一神経症 成績がよく,両親も教育に熱心で期待が強い。なんらかの理由で,学校生活が本人にとって重荷であるという事態が生じたときから,学校に行かなくなる。
ウ 父親不在 父親が欠けているか,いても父親らしい役目を果たしていない。○ 平井信義氏 「学校嫌い」
@ 家族の人間関係によって,自我が形成されるべき部分が未発達のために生起する。
A 第1反抗期(3〜5歳)を経験しなかった子どもに多い。○ 小泉英二氏 「登校拒否児」
@ 心理的理由(神経症的登校拒否)
ア Aタイプ−優等性の息切れ型 親からの心理的独立のざ折,自己内のかっ藤に起因するものが多い。
イ Bタイプ-甘やかされたタイプ 社会的・情緒的に未成熟で,困難や失敗を避けて,安全な家庭に逃避する。
ウ 分離不安 年少児にみられる。A 精神障害によるもの。
うつ病,神経症などの発症の結果として。
B 怠学傾向
ア 無気力傾向 学習意欲が乏しく,時折り休む。教師や親にいわれて登校するが,長続きしない。
イ 非行傾向 学校や家庭に適応できず,非行グループに入り,登校しない。C 積極的・意図的拒否
学校へ行く意義を認めず,自分の好きな方向を選んで,学校を離れる。
D 一過性の登校拒否
転校・病気,その他客観的に明らかな原因があり,それが解消するまで登校しない。以上の研究者の文献から,分析的に考えていくと,いくつかの共通点を見い出すことができる。それは,少なからず,家族関係において,なんらかの形で正常でない状態によって生み出されたものであるということがいえよう。また,これらの諸説をまとめて図式化すれば,図1のようになる。
(2) 登校拒否の一般的経過
登校拒否という症状は,「学校に行かない」という行動によって,自己の内的均衡を保とうとする行動であり,自らの精神的苦痛から自我を防衛しようとする自然の反応と考えることができる。
登校拒否は結果として,種々の症状を示すわけであるが,症状も原因と同じように,本人の年令・性格傾向・情緒性の成熟度などにより,その表出のし方もちがってくるものであり,代表的な区分のし方を,諸文献から引用して紹介する。