研究紀要第37号 登校拒否に関する研究 - 007/022page
表1 学業不振・不適応(拒否児20例)群の性格問題因子と性格類型一覧
〈考察〉
図1は,矢田部達郎・ギルフォード性格検査によってまとめた二つの群の,性格因子パーセンタイル平均を比較してみたものである。(アンダーアチーバー群:来所している学業不振・不適応による登校拒否児20名。オーバーアチーバー群:現在登校している生徒,福島A中学校より20名抽出)表1は,上記の学業不振・不適応による登校拒否児20名の性格類型と,問題因子として,標準点70パーセンタイル以上,30パーセンタイル以下の性格因子を摘出したものである。
これら二つの資料を分析しまとめてみると,おぼろげながら学業不振・不適応による登校拒否児の性格特性が明らかにされるのである。(もちろん,資料不足で断定はできないので,傾向として指摘することにとどめたい。〉
まず第一に注目されるのは,情緒不安定児が多いことである。その因子をみれば,20名中約半数の者が,劣等感大・抑うつ性大・気分の変化大・神経質の性格因子を持っている。
このことは,図1において,オーバーアチーバー群と比べてみても明らかである。特に劣等感・気分の変化に差が著しい。従って,これらの子どもたちの多くは,学業生活の中で,自信を失い,いつも自分は他人より劣っているのではないかと不安になる反面,粘りもなく,さ細なことでもすぐ感情的になるという特性を持っていると考えられる。
第二に注目されるのは,非活動的・内向的・服従的であり,気が弱く,恥ずかしがり屋である反