研究紀要第37号 登校拒否に関する研究 - 008/022page

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面,いつもくよくよと考え込むという特性がみられることである。

これらの性格特性は,学業生活面の自主性の欠如につながっていく。一般に,学業不振・不適応児の特徴といわれる客観性の欠如,自己統制力の欠如,意志薄弱傾向は,これらの性格特性から生まれてくるものと考えられよう。

第二には,社会的適応性に欠けるということである。学業不振・不適応による登校拒否児たちの中には,第二にあげたような消極内向型の者がいる反面,攻撃的,主観的で非協調的な者も多くいる。これらの子どもたちは,自己中心的であり,集団の中で孤立しがちである。学校においても,親しい友人がなく,教師との人間関係もうまくいかず,集団生活に障害が生じる傾向がみられる。

従って,学業生活でだいじな「みんなに負けないようにがんばろう」とか,「親や先生の期待に応えていこう」とかいう向上意欲が生じにくい。
いつも不平不満を内在しながら,その解決策がみつからないまま生活し,やがて拒否反応を起こしていくのである。

第四に,これらの子どもたちの性格類型を分析してみると,やはり上記で述べてきたような問題因子を持つ拒否児たちは,E類型が圧倒的に多かった。つづいて,C類型・B類型・A類型であった。このことからも,情緒不安定,社会不適応,消極的内向,非活動的な性格特性を持つ者は,学業不振・不適応に結びつきやすく,ひいては登校拒否を起こしやすい子どもであるといえよう。

なお,これらの性格特性と学業成績との関係については,宮崎大学野西研究室の発表資料があるので付記しておく。(表2)

情緒不安定の出現率と学業成績

情緒不安定因子の
右寄り\学業成績
上位群
(49名)
下位群
(49名)
出  現
51.0%
71.4%
非出現
49.0
28.6
100.0
100.0

非活動の出現率と学業成績

非活動因子の
右寄り\学業成績
上位群
(49名)
下位群
(49名)
出  現
42.80%
63.3%
非出現
57.2
36.7
100.0
100.0

この資料からも,情緒の安定性や活動性と,学業成績とは関係のあることがわかる。従って,学業成績を向上させるためにも,単に学習内容の強化のみに力を入れるだけでなく,情緒の安定という面からの指導が必要であるといえよう。

3.性格形成の背景である親の養育態度

図2 両群20名の養育態度の比較
図2 両群20名の養育態度の比較

(両群の平均バーセンタイル)

拒  否
支  配
保  護
服  従
矛盾・不一致
両群の
母の態度
消極的
拒否型
積極的
拒否型
厳格型
期待型
干渉型
不安型
溺愛型
盲従型
矛盾型
不一致型
23.0
34.5
60.8
55.3
56.5
39.0
39.9
46.9
20.0
20.8
アンダーアチーバー
53.9
55.2
67.5
51.5
56.3
58.8
65.9
69.5
62.4
66.5
オーバーアチバー
30.9
20.7
6.7
-3.8
-0.2
18.3
26.0
22.6
42.4
45.7

調査内容(質問紙法)

〈考察〉

子どもの性格は,従来の研究によればその大部分が,家庭,特に親の子どもに対する態度に基づいて展開される親子関係を通してつくられるといわれている。そこで,田研式親子関係診断テストを実施し,前記の拒否児の性格形成の背景をさぐってみた。もちろんこれも断定はできないが,次のような問題傾向を指摘することはできる。


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