研究紀要第37号 登校拒否に関する研究 - 017/022page

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をめざしたいと考えるようになってきたんです」
という言葉がでてきた。

● その後,自分から自主的に7/31に登校し,担任教師と会い,夏季休業中の宿題をきいてきている。
● 夏季休業中,学校側と連絡をとり,S男は情緒的に安定してきており,立ち直りのきざしがみえてきたので,授業日数や,授業時間数の不足で留年になるかもしれないが,休学の手続きとか,自主退学の手続きをとるような働きかけを保護者にしないように決定する。
●第2学期に人り,毎週1回だけ登校し,2時限まで授業を受け,学校に対する不安感の除去に努めていることが担任教師よりの連絡でわかる。

 ○19回 11/2
登校し,2時限まで授業を受け,その後帰宅しないで来所する。学校から直接来所したので,制服を着用し,かばん(中味は2時間分の教科書,ノート〉を持参している。受付を通るとき,特に心に抵抗感はなかったとのこと。このことについて,S男は「ATの結果,だんだん身体のだるさがとれ,すきっとしてきて,他人の目も気にならなくなってきたせいのように思える」と言っている。

 ○21回 11/17
制服を着用し,かばんを持参して来所,ここ一週間のことがらについて話し合う。

T 「このごろの生活について,差し支えなかったら,お話してくれませんか?」
S 「………このごろは朝はいつも6時半ごろ起きるようになりました。この時刻に起きても少しも苦にならなくなってきたんです。………そして………朝,内観をしています」
T 「そうですか,お母さんについての内観はもう終わったと思うんですが………まだ,お父さんですか?」
S 「いや,お父さんは終わって,今妹について『妹に,今までどんなことをやったか』を内観しています。妹とは年があまり離れているせいか,はじめはなかなか考えつかなかったんです………考えついたことは,そんなに何もしてやらなかったんだなぁということです。………これではだめだ,やはり,妹なんだから,もっと兄貴らしく………いろいろやってやる…うん。………例えば,勉強がわからないときなど,面倒がらずに,教えてやらなければならないんだなぁと思うようになってきたんです。………」
T 「そうすると,ちょっと難しくなるかも知れませんが,兄妹愛を自分なりに考えてきたと解釈してよろしいんですね?」
S 「はい,そうです。………それから,ATは夕方と夜寝る前にやっているんですが,だいぶ心が落ちついて,だるさがとれます。………それで………なんとなくすっきりしてくるような感じなんです。………こんな感じがつかめるようになったのが,ぼくにはどうしても不思議でしかたがないんです」
T 「気分が落ちついて,すっきりしてきたときなど,どんなことを考えているんでしょうね?」
S 「………2学期になってから,毎週1日だけしか学校に行けなかったんですが………今度はもっと学校に行っても苦にならないんではないかと思うようになってきました」

 ○22回 11/24
制服を着用し,かばんを持参して来所したが,髪を短かく,さっぱりとしていた。やはりここ一週間のことがらを話し合う。

T 「前に来所したときから後の生活について差し支えなければ,お話してくれませんか?」
S 「思い切って,初めて,先週土曜日に登校し4校時授業を受けてきました。4校時の授業を受けたのは久しぶりでした。1校時は世界史で,2校時は現代国語,3校時は保健,4校時は倫理社会でした。いままで長く学校を休んでしまったんで,世界史,倫理社会は,まあまあなんですが,物理はわからないんで困るんです。
ぼくは小学校から理科は不得意でしたから……それに,休んだからわからないのがあたり


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