研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 002/081page

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授業におけるテレビカメラの活用
 
加 藤 邦 明
(経営研究部)

 昭和40年代初期から,教育方法の改善策の一つとして,教育機器の開発と導入が盛んになり,OHP,VTR,集団反応分折装置,それに個別学習機器等,その普及には目ざましいものがある。

 更に,今回の新しい教材基準の制定によって,これら教育機器導入の可能性がより大きなものとなってきており,それぞれの機器の特性を生かしたマルチメデアの利用が普及できる見通しがついてきたわけである。一方,機器の活用に関する研究や出版物も数多く紹介され,導入初期の暗中摸索的な研究から,より有効な活用を目ざしての実践的研究が着実に浸透してきている。

 しかし,機種によっては,その利用法や効果について十分に周知されていないものもあり,かなり有用でありながら,活用され普及されていない機器もある。テレビカメラもそのひとつで,これまでVTRの付属機器として扱われてきたことから,授業の中でOHP並みに活用されることはまれであり,その教育的特性についても,まだまだ知れ渡っていない点が多い。

 ここでは,テレビカメラによる「生映像」のすぐれた教育的特性とその利用方法についてふれ,効率的な活用をはかるために試作した教材提示装置のしくみについても述べてみたい。

1 映像機器の充実状況と活用の現状

 文部省は,昭和53年度を初年度とする新しい教材整備10か年計画(第二次)を定めた。これは,新しい指導要領の内容を指導するために「標準的に必要とされる教材の基準」を示したもので,これまでの基準が,「基礎的に必要とする教材の品目及び数量」を掲げたものに比べ,かなり弾力的なものになってきている。新基準では,

(1) 視聴覚関係機材の整備
(2) 教材作成の効率化を計るための機材の充実
(3) 学習指導の個別化を計るための機器の導入
(4) 体力づくりのための体力測定機器の導入
(5) クラブ活動教材の整備

などに重点がおかれている。これらの中で,(1)〜(3)は,いわゆる教育機器と呼ばれているもので,これまで,指導方法の改善に大きな役割を果してきており,それらの成果を,更に普及させようとの配慮のほどがうかがわれる。

 これまでは,例えば,親テレビ,子テレビ等の台数がそれぞれ示されていたが,新基準では「テレビ関係機器」として,テレビの他にVTRやTVカメラ等の関連機材も導入できるようになり,学校の実状に応じた指導方法の改善や,独創的な教材教具の活用法の開発に対応できるように改められている。また,未録画テープや16mmフィルムが含まれるなど,ソフトウエアの開発や,地域学校間での組織的・計画的な教材整備が可能なように配慮されている。


 このように,新基準が示されることによって,教育機器の導入及びその活用による成果を普及し拡充するための法的根拠と財源の保証がなされたわけである。
 本県における教育機器の充実状況については,昭和52年12月現在で,当時,所員であった須賀紀一氏が,県下の学校を対象に悉(しつ)皆調査しており,図−1は,その調査の一部で,中学校の場合の全国と
図-1
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