研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 015/081page

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○ 2次レベルの欲求
 学習はきめられた時間内でやればよい。
○ 3次レベルの欲求
 学習をしていく中で,みんなと一諸にもっと向上したい。
○ 4次レベルの欲求
 学習をしていく中で,教師やみんなから,自分の力を正しく認めてもらいたい。
○ 5次レベルの欲求
 学習をいつもねばり強く続けていこうとする気持ちが強い。

 学習意欲を向上させるためといって,教科についてだけ働きかけても,生徒が,人間としての自己の安全が脅かされ,親・教師や友人から,愛情や尊敬も受けていないならば,自己防衛にきゅうきゅうとして,みずから成長しようとする動機を失い,学習意欲は向上するものではない。
 生徒のパーソナリテイの全体に働きかけることによって,低次の欲求段階にとどまっていたり,自己防衛にゆがめられている生徒の基本的欲求を満足させるようにし,加えて,適正な動機づけによって,正しい生活意欲をもたせ,そこから,学習意欲を高めていく必要があるのではあるまいか。
 この全体的な考え方をふまえて,動機づけを考えてみたい。

(1) 動機づけの意義

 あれもやってみたい,これもやってみたいというように,人間の内部に起きた動機(行動の原動力と考えられる内部要因の総称−motive)が,内外の諸要因と関連して,具体的な行動に展開する働きを,動機づけ(motivation)といっている。そして,動機づけは,内的(内発的)動機づけと,外的(外発的)動機づけの二つに大別できる。

@ 内的動機づけ

 学習内容・学習活動など,学習経験そのものが,生徒の「したい」欲求と,「しなければならない」必要や価値意識に基づく意志によって,「やる気」を起こし,高めることである。

A 外的動機づけ

 学習経験そのものではなく,欲求とその充足目標としての目的が別にあり,この目的実現の手段として,ともかく,学習活動に「やる気」で立ち向かうことである。
従って,動機づけを要約すれば,生徒自身の内心から勉強したいという気持ちになることが,内的動機づけであり,外からの力によって,勉強しようとする気持ちにさせることが,外的動機づけということができる。

 ところで,学習意欲の乏しい生徒に共通していることは,外的動機づけは成立しても,内的動機づけが成り立ちにくいことである。テストや宿題があれば勉強するが,それがなければ勉強しない。あるいは,親や教師の監視の目が光っておれば勉強するがそれがなければ勉強しない。このような傾向は,内的動機づけが成立していないために生じているのである。
 そこで,学習意欲を高めるために,内的動機づけによって,学習に立ち向かえるようにしてやらなければならない。

(2) 動機づけの方法

@ 成功感をもたせること。

 生徒の中には,不当に高い要求を強いられることによって,その要求水準に達することができないため,挫折感の連続に悩み,劣等感をもつようになってしまう。また,反対に,生徒が自分でも低いと感じるような水準の場合は,成功感は得られず,意欲がわいてこない。だから,生徒の能力にあった高くもなく,低くもない,中低度より若干高い難しさのもの(適度抵抗のもの)を与えることが大切である。

A 目標を明確にもたせること。

目標が明確化され,その目標に向かって学習すれば,達成した時の喜びも大きい。到達結果を予想し,期待するところに励みがつき,意欲もわいてくるものである。

B 接近の原理を利用すること。

刺激と反応との時間的な接近をはかるという原理により,生徒が現在関心があり,興味をも


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