研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 034/081page
地表の山,谷,湖,水系等が縮小され,克明に写し出されており,また,画像特有の陰影や線状の模様は画像に立体観を与える働きばかりでなく,この陰影や線状の模様から,地形,岩質,地質構造等の多くの情報を読みとることができる。
(1) 画像のスケールと,読みとれる情報の限界
図3は,福島県土の100万分の1の画像である。まず気付くのは,阿武隈山地東縁に北北東−南南西に伸びる陰影である。これは,双葉断層と呼ばれ延長150qにも達する大きな構造線であるため,画像から明瞭に判読できる。
この画像のスケール(縮尺)だと,地上で1qの長さは,画像でわずか1oにしか相当しないので,段丘地形や,扇状地のような小さな地形は,この画像では判読できない。したがって,学習内容にによって,画像のスケールを選ぶことが大切になる。
一般に,県土単位の広がりを対象に,断層線や構造線が判読でき,県土の生いたちの学習に利用できる画像スケールは,100万分の1〜20万分の1である。
また,西南日本地域のような広がりを対象に,地殻変動に伴なう構造線(例えば,中央構造線)のような,大きな地形を判読する地形学習に適する画像スケールは,200万分の1〜1000万分の1である。一方,丘陵,段丘,扇状地,カルデラ湖等のような小さな地形を対象とする場合,1万分の1〜4万分の1スケールの実体視用空中写真を用いた方が,実際の地形に近く,学習効果が期待できよう。
(2) リニアメントから情報を判読する
図3の画像は,双葉断層を示す線状の模様の他にも,画像の右下から北北西に2本の線が観察される。このような線状の模様をリニァメント(Lineament)とよんでいる。この線状模様は,一定の方向に並ぶ谷や陵線のつながり,山麓線など明瞭な傾斜の変換線,または,これらの地形や岩質によって,光線の反射量が変わり,陰影のコントラストに差異が生じてできたもの
図3 福島県のLANDSAT画像
(提供:リモートセンシング技術センター)