研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 036/081page
・実体視用空中写真
東京都目黒区青葉台4−9−6 日本地図センター
白黒写真(24×24cmのもの)536円
縮尺指定する。(3) 福島県土地質構造の判読
図3は,1979年11月8日,5バンドで撮影した白黒のランドサット画像であり,図5は1979年5月21日に7バンドで撮影した画像である。
図5 7バンド県土の画像
図5は,図3に比べて,川,湖,海等の水域が,より黒く写っており,第四系(洪積・沖積平野や河川流域)地域は,先第四系や火成岩地域と比べて,白黒写真では黒のトーンが弱く,灰色系に写り,他の岩石区と容易に区別できる。一方,リニアメントや陰影は,図3の方がより鮮明である。
このようにスペクトルバンドによって,画像上に大きく差違が現われる。〈実習1〉
図3は,5バンド,図5は,7バンドで撮影した福島県土の画像である。これらの画像から県土の地質構造を調べよ。
1.阿武隈川,大川,只見川,鮫川を青鉛筆で書き入れる。
2.福島盆地,郡山盆地,会津盆地を緑色でぬる。
3.福島市,郡山市,いわき市平,原町市,会津若松市や自分の位置を書き入れる。
4.画像の白黒のコントラストや,リニアメント,陰影等の特徴から県土をいくつかに区分する。(画像はいろいろな方向から眺めてみる)
5.大きなリニアメントを赤鉛筆で書き入れる。
6.県土の地質図を参考にして,4,5から県土のおいたちを話し合う。−チェック・ポイント−
4 県土はリニアメントや陰影から,図4のように大きく5ブロックに分けられる。
@ 双葉断層の東側の平野部や盆地のように,鮮新世や第四紀のような新しい地層からなる平担地
A 双葉断層と畑川破砕帯に挾まれた,古生代〜中生代の硬い岩石からなる帯状の地域
B 陰影のコントラストが弱く,浸食作用が進み,準平原化した阿武隈山地
C 中通以西の地域で,陰影のコントラストも強く,壮年期の地形を示し,第四紀の火山が分布している。
D 陰影のコントラストが阿武隈山系と奥羽山系の中間の八溝山系
この他の区分もあるので,生徒の意見を大切にする。5 画像から判読できる大きなリニアメント(大きな断層線)
@ 双葉断層(岩沼一久之浜構造線)
いずれの画像でも,直線的な陰影は非常に明瞭である。この断層は,阿武隈山地に広く分布する花崗岩の貫入に伴う中生代末の大規模な地殻変動で生じたもので,現在でも断層面に沿って活動している活断層である。
A 畑川破砕帯
双葉断層の西側10q(画像面で1cm)附近で断層に平行なリニアメント。所により2本のリニアメントが観察される。
B 棚倉破砕帯
八溝山地と阿武隈山地の境に双葉断層と同じ方向に,平行の2本の明瞭なリニアメントが見られる。この2本の断層線に挾まれた低地が棚倉破砕帯と呼ばれ,双葉断層と同じ地殻変動で生じた。