研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 041/081page

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層崖の教材として模式的な場所である。
 実体鏡で観察すると,断層崖Tは太陽の反射光線量の違いから,周辺より白っぽく見えるし,また,規模は小さくなるがU,V,Wの三角面は,断層崖ができた当時は一つの面であったが,志津川部落に注ぐ川や,千石川によって寸断され,現在のような三角面となった。
 実体鏡下で見る三角面内は,更に浸食され,小さな沢が断層崖内に観察される。

2 扇状地形と活断層
 川桁断層崖に沿って,見事な扇状地が並んでいる。写真では,千石川扇状地がよく観察される。川桁山地を浸食して流れ下る千石川は,V字谷をきざみ,運ばれた土砂は,平野部では流速が衰えるため,谷の出口を頂点として,扇状に堆積地形を形成している様子がよく観察される。
 また,よく注意すると,扇状地上を南北方向に,直線的に陰影が見られる。これは,扇状地ができた後に生じた断層で,水準点の観測から,活断層とみられている。

3 段丘地形
 長瀬川の流域に沿って,浸食崖が鏡下に見られる。千石川扇状地の西側扇端は川の氾濫でえぐられており,また,流域に沿って,小さな段丘面がいくつか観察される。

〈実習4〉
 図14は,磐梯山の西方にそびえる猫魔火山,雄国沼の空中写真である。実視鏡を用いて,カルデラ特有の地形を観察せよ。
1 カルデラ湖と湿原と陥没壁
2 中央火口丘
3 カルデラを取り囲む外輪山

−チェックポイント−

1 カルデラ地形
 猫魔火山はその東に隣接する磐梯山に比べて山麓部はかなり浸食も進んで,V字谷が発達していることから,その形成時期は磐梯山より古い,第四紀洪積世の中期(50万年前)と考えられている。この火山の型は基底部が12km,高さが1.2kmと皿を伏せたような形なのでアスピテ式火山であったと推定できる。
 頂上には長径3kmの火口があり,実体鏡下では,茶わんを上から眺めたようなカルデラが観察される。陥没したカルデラ中央に

図14 雄国沼(空中写真)
図14
 雄国沼(空中写真)(国地総複発第179号)

図15 雄国沼(解説図)
図15
 雄国沼(解説図)


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