研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 053/081page
E 民謡を合唱曲や合奏曲に編曲して教材とする。
民謡は元来謡(うた)われるものであるが,生徒が趣味関心をもって意欲的に学習ができるように,合唱曲や合奏曲に編曲して教材とすることも考えられる。その場合,西洋音楽の作曲様式(機能和声)で編曲したり,民謡の特性を失うような扱いは避けなければならない。(3) 民謡指導上の留意点
民謡を教材として歌唱表現する場合,単に採譜した楽譜にのみたよって,機械的に歌われるものではなく,教師の範唱,あるいは,古老の歌った録音を聴きながら,口から耳へ,耳から口ヘといった従来からの伝承法も,学習を進める上で考慮しなければならない。楽譜からだけの指導では,その教材のもつ素朴な美しさや郷土の匂り,情感が表現しにくいからである。
以上のことから,その教材を表現教材として扱っても,表現と鑑賞の二領域から教材に迫ることによって,より一層表現力が高められ,効果的な指導が期待できるのではないかと思われる。
郷土の音楽の指導については,まだ未開拓であるので,いろいろな手だてを考えていかなければならない。@ 1・2学年では,リズムの明確な「拍節的なリズムの民謡」を教材とする。
A 新学習指導要領で示されている「長音階及び短音階と日本の音階の特徴」(第1・2学年2のA(2)ア)では,旋律を構成している音組織のそれぞれの特徴や終止音などについて,表現・鑑賞の活動を通して,感覚的にとらえさせる。
ア 長音階・短音階と日本の音階の独特な味わいや仕組みの違い。
イ 陽音階と陰音階の味わいや仕組みの違い。B わらべうたや民謡の音組織の基礎である。
民謡・都節のテトラコルドを素材とした平易な旋律で,視唱・視奏をして日本の音感覚を身につける。