研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 055/081page
I民謡を鑑賞する場合,ただばく然と聴かせるのでなく,学習のねらいによって聴くポイントを明確におさえて聴かせる。
ア 曲全体の感じや曲の特徴をは握させるために聴かせる。○おおらかな中に素朴な美しさのある代表的な民謡である。中間部が都節調から律調に転調し,更に都節調へ転調して曲に変化をつけているのがこの民謡の特徴である。
イ 旋律の装飾的な動き(節回し・小節(こぶし))や発声などから聴かせる。
ウ 曲を構成している諸要素(音組織・リズム・旋律・音色・楽式など)から聴かせる。
エ 誰が(歌っている人・職業),何のために(目的),どこで(場所)、どのようにして(動作)などの民謡の発生や伝承の背景から聴かせる。
オ ある事象について,異質なものと比較鑑賞させ,それぞれの特徴をは握させる。J 民謡の素朴な美しさを感じ取らせるとともに,積極的に「聴こうとする」意欲を高めるようにする。
K 民謡は主に過去に生成し,伝承されてきたものであるから,現代の生徒たちの生活様式からは,親しみにくい面もあるので,視聴覚教材を活用するなど指導法の工夫によって,興味関心を持たせるようにする。
(4) 教材化の例
@ 楽曲(民謡)=教材=題材
(楽曲構成の形態による題材設定)ア 題材 「原釜大漁祝い歌」
イ 題材について
「原釜大漁節」とか,「相馬大漁祝い歌」などともいわれている歌で,相馬市原釜の漁夫たちによって歌われてきた大漁の祝い歌である。この歌は,岩手,宮城県両県の漁港で歌われて