クの型紙や実物などを用いて,スモックの基本的な構成及び動作とゆとりの関係を理解させ,立体構成の基本を把握させる。
(1) スモックの構成
スモックの基本型は,前身ごろ,後身ごろそで,見返しなどの部分から構成されている。
それを写真2のように縫い代をマジックテープでとめて構成したスモックの実物によって分解しながら知らせると理解しやすい。
または,逆に分解しておいて,次,次とスモックに構成していきながらその形状及び枚数と体との関係について理解させるのも一方法と思う。
写真2 マジックテープで構成したスモック
(2) スモックに必要なゆとり
衣服に適度のゆとりをもたせることは,動作の上からも美的な見地からみても,衣服の機能を果たすために必要なことである。
スモックの製作指導に使用する既成型紙に入れてある「胸囲のゆとり」は,メーカーによって14〜20cmと幅がある。
作業着としてのスモックのゆとりについて調べてみる。
@ 動作による胸囲の変化
表2 動作による胸囲の変化
\胸囲
動作\
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胸囲 (84cm)
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後B・L(41p) |
前B・L(43p) |
普通呼吸と深呼吸
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上
半
身
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30°前屈身
腰掛30°前屈身
125°前屈身
15°後屈身 |
+8.2%(3.4p)
+11.9%(4.9p)
減少 |
減少
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%は静止時を0としたときの変化量
( )内のpは,胸囲84cm(後B.L41cm,前B.L43p)の人の場合
〈被服の立体構成理論編 石毛フミ子著より〉
スモックの場合,動作に必要なゆとりは,作業着なので,通常考えられる最大の動作を見込む必要があり,表2の□印部分の増加分をプラスした分といえる。胸囲84pの人の場合は13.6cmになる。
B 着衣によるゆとり
スモックは,衣服の汚れを防ぐための作業着としてブラウスやセーターの上に着用することが多い。重ね着のためのゆとりについて調べてみる。
ゆるみ模型図 胸囲84cmの場合
a=胸囲84cm
b=胸囲+ゆるみ(13.6cm)
b=(d+e)×2
c=ゆるみ寸法
c=(b−a)
=(97.6−84)
=2.2cm
胸囲84pの人に動作のゆとりとして13.6cmを入れた場合のゆるみ寸法Cは22pとなる。
普通中学生の着用しているものの衣服の全厚さと空気層の厚さを測定してみた。
表3 衣服の全厚さと空気層の厚さの測定例
被検者 Imm
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被検者 Nmm
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衣服の全厚さ 8.0
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衣服の全厚さ19.0
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スリップ |
0.26
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ブラウス |
0.26
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ジャケット |
2.61
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シャツ |
0.63
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スリップ |
0.26
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ブラウス |
0.26
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セーター |
1.90
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ジャケット |
2.6
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衣服地の厚さ |
計5.66
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空気層の厚さ |
13.34
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