研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 061/081page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

着衣重量           1290g 着衣重量          1701g

 被検者Nの場合の衣服の全厚さは1.9cmであり,冬期間でも大体この程度の着用が多い。
胸囲84cmの場合に,最大の動作のゆとりとして13.6cm入れた場合のゆるみ寸法は2.2pであるからこの程度の着用では動作のためのゆとりが入いっていれば,重ね着のためのゆとりは必要ないと思われる。
 スモックの既製型紙には「胸囲のゆとり」として14〜20cm入っており適切であるが,その理論の裏づけとしてふまえ,科学的な技術指導をしてほしいものである。

5 縫製に関する実験

 被服Tでは,小学校の家庭科で学習した「被服」の基礎的な知識,技能を基盤に,被服の立体構成の中では比較的簡単であるスモックの製作が取り上げられている。製作にあてられる時間は少なく,その限られた時間内で,ひとつのものを完成するためには,能率的,合理的縫製が必要になってくる。布を縫い合わせた縫い目のもつ強さは,使用後に大きな影響を与えるものである。ブラウスの後袖付けがほころびたり,タイトスカートの後プリーツの縫い目の織糸ずれやほころびをよく経験する。

 スモックでは,綿,レーヨン,ポリエステルなどの繊維を扱うが,製作指導にあたっては布に対し,どのような糸,針および針目を組みあわせたらよいか,洗たくに強い縫いしろの始末はどうしたらよいかなど,じゅうぶん研究する必要がある。

(1) 布・針・糸・針目の大きさ別による

縫い目の強さ

実験方法

@ 実験材料

表4 実験材料

実験布
繊維
組織
厚さmm
糸密度
たて
よこ
ブロード
綿100%
平織
0.39
52.5/p
27.5/p

A 縫い方・方法
縫い方・方法

B 試料の調整

 定温乾燥器で105℃で30分乾燥し,その後デシケーターで48時間調整する。

C 測定機械

 ショッパー型織物強伸度試験機
写真3 織物強伸度試験機
写真3 織物強伸度試験機

 引張速度15cm/min荷重 100kg 測定法
写真3のように上部と下部のチャックで強く締めつけ,モーターのスイッチを入れる。振子が目盛板上を上昇し,布が切断すると指示針が停止する。その目盛を読んで強度とする。

D 実験結果及び考察
図1 針目数と縫い目の強さ
図1 針目数と縫い目の強さ

 針目の大きさと縫い目の強さは,図1のブロードたて布のように,原布の強さが大の時には針目が細かいほど,針目の引張り強さは大になる。ブロードよこ布の場合は,原布の強さがたて布より弱く,針目を細かくしても


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。