研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 002/038page

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ことから研究を始めることにした。

(1) 問題点@「時間がとれないこと」についての考察

紀要第34号によれば,本県小・中学校における一回の授業研究の各段階にあてられる時間は,およそ,(1時間は45分見当で)
 ・事前研究会……2時間以内
 ・研究授業の観察……1時間
 ・事後研究会……2時間程度
で,事後研究会は,ほとんどの学校が研究授業実施当日に行っている。多忙な学校にあっては,校内組織による授業研究ではあっても,これにあてる時間は,そう取れない現状がうかがわれる。

学校において,授業研究のための時間をどのように確保するか,という問題は,今回の研究には取り上げないことにし,この時間的制約を一応認め,これを前提として研究を進めることにした。

(2) 本年度の研究の出発点

わたしたちの研究対象とするのは,

●研究主題を持った
●校内の研究組織による
●  ・事前研究会(2時間以内)
   ・研究授業の観察(1時間)
   ・事後研究会(2時間程度)
  の三段階をふんだ

授 業 研 究

ということになった。以下,この授業研究を「2-1-2方式の授業研究」と呼ぶことにする。

このように,研究対象とする授業研究を限定すると,この「2-1-2方式の授業研究」実施上の問題点は,A,Bの二つになる。わたしたちは,これらの問題点の解決によって,より改善された授業研究の方法を確立するために,まず,この解決に焦点をしぼったのである。本年度の研究の出発点は,ここであった。

ここで,「2-1-2方式の授業研究」について考察しておく。この方式の授業研究の性格を知ることは,後に述べる問題点A,Bの分析を理解するのに必要であると考えるからである。

(3) 「2-1-2方式の授業研究」について

授業は何年やっても難しい。よく,「本当に,心から満足できる授業ができたと思うのは,年に何回か数えるほどしかない。」というベテラン教師の話を聞く。

ここでいう授業とは,いわゆる「本時の目標の達成」だけをねらいとした授業のことであり,それだけでも「難しい」というのである。

この授業研究における研究授業では,「本時の目標の達成」のほかに,「研究主題の解決」という課題を持っており,この二つの課題は,密着している場合もあり,そうでない場合もあるが,とにかくひとつの授業の中で,この二つの課題の解決をはからなければならないのである。ふつうの授業での,「本時の目標の達成」だけでも大変なのに,この研究授業では,「研究主題の解決」までも要求されるのであるから,教師自らが自らに課した研究とはいえ大変難しいことであり,それには,教師の力量と努力とが要求されるであろう。

ともあれ,わたしたちは,この授業研究の,その実施上の問題点の解決を,まず目指して,研究を進めることにしたのである。

(4) 問題点A「研究授業の学習指導案の作成が難しいこと」についての分析

この授業研究の研究授業でねらうものは,「本時の目標の達成」と「研究主題の解決」であった。このうち,前者に関しての学習指導案の作成が難しい,などとは,少なくとも専門職としての教師のいうべきことではあるまい。とすれば,問題点A「研究授業の学習指導案の作成が難しい」というのは,「研究主題の解決」の方策を,学習指導案の中に位置づけるのが難しい,ということになるであろう。

いや,そうではなくて,問題点Aは,その一歩前の「研究主題の解決」の方策が,明確に具体化


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