研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 003/038page

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されていないことに起因しているのではないか。
これが具体化されていれば,それを学習指導案の中に位置づけることは,そう難しいことではあるまい。したがって問題点Aは,「研究主題の解決」の方策を,明確に具体化することによって,解決されるであろう。

だが,本当にそうであろうか。もしも,「研究主題の解決」の方策が,その時点で考えられなかったら,上の論は成り立たないであろう。

問題点A「研究授業の指導案の作成が難しいこと」の原因は,実にこの,解決策など考えようもない,漠とした研究主題そのものにあったのではないか。

授業研究における望ましい研究主題とはこ,当面解決がせまられている学習指導上の問題点,または,より高い効果をねらった指導法に関することなどを対象として,ここから取り上げた事柄について,これから研究しようとする内容を端的に表現したものであり,それは,本来具体的かつ限定的なものであるべきである。

したがって,問題の大きすぎる研究主題,概括的,一般的,抽象的な研究主題はすべて失格である。これらの失格主題を,単に形式的に掲げたとしても,もともと,これに対する具体的な解決策は見出せるはずはないのだから,これが,本時の授業と直接どうかかわっているかが“見える”学習指導案など書けるはずがないであろう。

逆にいうと,学習指導案の中に,具体的な解決策力が見出されないような研究主題は,研究主題になり得ないであろう。
問題点A「研究授業の学習指導案の作成が難しい」というのは,この研究主題の選び方が難しい,ということではないが。

(5) 問題点B「授業のねらいが,どれだけ達成されたかの判定が難しいこと」

紀要第34号によれば,研究授業の観察の段階における記録の方法については,「観点を決め,手わけして逐次記録をとった」と回答しているのが,小学校で75%,中学校で65%もあり,このことから,授業を客観的にとらえようとする努力が十分にうかがわれる。しかし,これらの客観的な記録をもとにした事後研究会の段階で,問題点B「授業のねらいが,どれだけ達成されたかの判定が難しい。」と回答しているのは,どうしたわけであろうか。

問題Bも,実はAと同様に,失格主題に起因,しているのではないか。

失格主題をもとに作成された,漠とした学習指導案による研究授業では,もともと,研究主題が具体的に本時の授業とどうかかわっているかが不明であるから,どの場面で,何を,観察,記録するのか,観点,方法が定まらず,逐次記録は取ってみても,結果として,一体何を意図した研究授業であったのか,事後研究会の段階で,いたずらに困惑するばかりであろう。

このように,研究主題のよしあしは,授業研究の結果を大きく左右する。研究主題をどう選ぶか。
授業研究実施の際は,まず研究主題の研究を十分行って出発しなければなるまい。

(6) 研究副主題と仮説の設定

問題点A,Bの原因は,研究主題そのものにあったと思われる。すなわち,研究主題が,失格主題であったことがその原因であったと考える。とすれば,これらの問題点は,具体的で,限定的で,焦点化された研究(題を選ぶことによって解決されるであろう。すなわち,適格主題を選べば,これと本時の授業との関連が明確になり,研究主1題の解決策が具体化され,それらを学翌指導案の中に明確に位置づけることができ,問題点A「研究授業の指導案の作成が難しいこと」は解決されるであろう。

また,そのような学習指導案による研究授業では,研究の意図も明らかであり,授業観察の観点,観察の方法も定まり,その結果,限られた時間内での事後研究会においても,授業のねらいがどれだけ達成されたかの判定も効果的になされ,まとめが焦点化されるであろう。このようにして,問題点B「授業のねらいが,どれだけ達成されたか


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