研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 007/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

あった。一つは「研究主題の解決」であり,もう一つは「本時の具体的な目標の達成」であった。従って,授業を観察する場合には,特にこれらの点に注意して観察しなければならない。この欄に記人される□番号,○番号の位置は,研究主題の具体化された解決策や,本時の具体的な目標が,実際に指導内容の欄や学習活動の欄に記入されている位置に並ぶようにする。解決策や具体的な目標の位置がひと目でわかるようにするためである。

この欄は,授業観察の観点を明確にしようとする意図で考えたものであり,本研究での重要な部分である。この欄の観点は,授業観察上の重要なチェックポイントであって,これらの観点を中心に事後研究会を進めることによって,焦点化された話し合いが期待されるわけである。

●観察記録の欄……〔 〕内の内容は,観点の欄の「□番号」の内容に対応するもので,本時の授業の中で,研究主題の解決策が,具体的な形でどう取り上げられ,それがどの程度効果があったかを観察することを指示するもので,〔 〕の下には,「何で」その効果を評価するのか,評価の方法を明示する。また,( )内の内容は,観点の欄の「○番号」の内容に対応するもので,本時の具体的な目標がいかに達成されたかを観察することを指示するもので,( )の下には,「何で」その達成の度合いを評価するのか,評価の方法を明示する。なお,抽出児を観察する場合も,観点ごとに観察し記録する。この欄の余白には,改善策やその他気づいたことなど,なんでも記入する。

●観点No・評価の欄……この欄の数字は,観点につけた通し番号で,例えば,No3の観点についてなど,事後の研究協議や記録の処理の上での便を考えたものである。この数字の下の□や○には,その観点に対して,2段階1,0(○,×でもよい),または3段階1,0,−1,ないし5段階5,4,3,2,1などによる評価を記入し,授業終了後直ちに集計して,事後研究会の資料にすることも考えられる。□内の評価は,研究主題の解決策に対するもので,○内の評価は,本時の具体的な目標に対するものである。

2.事前研究会,研究授業の観察,事後研究会での留意事項

(1) 事前研究会

ここでは,授業者の意図,授業観察の観点(研究主題の解決策とその位置づけ,本時の具体的な目標とその位置づけ)を明確にし,これらについて十分共通理解をはかっておくことが大切である。

(2) 研究授業の観察

従来の習慣で,どうしても,「本時の具体的な目標の達成」だけを追った観察になりがちなので注意したい。それで,授業の観察にあたっては,先ず,観点の欄の□,○,観察記録の欄の〔 〕,( )の内容に十分注意し,指導内容,留意点,学習活動の各欄との横の関連のもとに観察記録をする。

(3) 事後研究会

 ●授業者の自評は,授業者の意図をもう一度簡単にまとめ,意図と実際の授業とのずれなどについて,または,指導にあたってでてきた問題点などについて,できるだけ簡潔にする。
 ●協議は,まず,各段階ごとなどによって区切って進め,最後に全体的に見た上でどうであったかについて検討し,まとめをする。各区切りでは,その中に設けられた観点に焦点をあてて協議する。できれば,ここで,次に述べる資料なども活用したい。
 ●観点ごと得点表(P38参照 観察教師14名の例)
 ●観点ごと抽出児記録表(P38参照)これは,抽出児観察担当者のそれぞれの記録を一枚にはり合わせ,コピーしたもの。
 ●指名分布をTP化したもの。これは,TPにあらかじめ座席を書いておき,児童生徒が1回指名されるごとにその座席に○印一つを記入したもの。
 ●板書事項をTP化したもの。
 ●必要があれば,テープレコーダ,VTRなど。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。