研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 019/038page

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本時のねらいを達成させるには,教科書では内容的に不足しています。福島の写真は,やっと見つけたもので,喜ばれてよかったと思います。明治初めのころのものは見つかりませんでした。

   (省   略)

(4) 結果の整理(関係認識)について

司会 それでは,B先生から話が出ました関係認識の段階へ話しを進めて行きたいと思います。チェックポイントは,10・11です。

E 前の段までで時間的にはいっぱいでしたが,10分の予定が12分かかっています。ここで高村先生が,文明開化が東京を中心にしてこんなに早く進んだわけ,つまり,文明開化が行われたわけを問うと,H君が「外国に遅れないように」,Aさんが「国の独立を守るため」,C君から「外国に行った時…,刀をさしていたら恥ずかしいから」という発言がありました。これらの子どもたちは,「文明開化」の意味をその子なりにとらえて,それを日本の歴史の流れの中に位置づけているのだと思います。

高村 ここで時間的余裕があれば,H君,Aさん,C君らの発言をもう一度突っ込んで問い返したかったのですが……。

S あそこで先生が,TPで明治の諸改革を効果的に提示して,既習事項を想起させた先生の手だてはさすがだったと思いました。明治の諸改革と文明開化とを結びつけて考えさせようという先生の努力,意図がよくわかりました。子どもたちもあの資料で「文明開化」も明治の諸改革と深く結びついていたことに気づいたと思います。

F 抽出児O(下位)は,さらに意欲的でなくなり,考えている様子が見られなくなりました。話し合いに参加できなくなったようでした。

R 事実認識のところでかなりの時間をとって文明開化の事実をとらえさせているので,ここではもう少し時間をかけてじっくり考えさせてもよかったのではないかと思いました。下位の児童のように意欲的でなくなっている子もいましたが,子どもの興味の持続と教師のペースとに距離感があったようにも思えるんですが,むずかしいですね。

   (省   略)

U 結果の整理の段階では,とらえた歴史的事実を関係的にとらえさせようとすることが大切です。そういう学習を積み重ねていくことによって,子どもたちに歴史学習の学び方を身につけさせることになるのだと、患います。

   (省   略)

司会 そろそろ時間ですので,高村先生の自評にありました,子どもが授業後に書いたものをお聞きして,認識の深まりについて考えてみましょう。

高村 いつも授業後に書かせているわけではありませんが,今日の授業でわかったことということで書かせました。

明治時代の人たちは,外国に遅れず,日本を独立させようとして,西洋のよい文化をとり入れた。これが文明開化である。それは,五カ条の御誓文,新しい学校制度,富国強兵などと関係していると,思われることがわかった。(B男)

この子は,関係認識まで深めているのではないかと考えますが,これに近いことを書いている子どもは,37名中23名(62%)いました。
次のような児童は,事実認識の段階でとどまっているのではないかと、思います。

文明開化は,明治の初め,衣食住など全部の生活をかえた。だが,それは,東京などが中心で,地方まではひろがらなかった。福島はおくれた。(T子)

このレベルで書いている児童は,12名でした。このほかに,文明開化を一番よく学んでいるとも考えられる児童ですが,「文明開化は,人々の生活を変えたが,明治の人々にとって文明開化とはどういうものだったのだろうか。」と新たな疑問を持ち,調べたくなった問題をとらえている児童が2名いました。

   (省   略)


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