研究紀要40号 事例を通した教育相談のすすめ方 - 004/025page

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表1 学校における問題行動の類型の一例

知能・学業
性格行動A
(反社会的)
性格行動
(非社会的)
神経症・心身症
・知能の遅れ、優秀すぎることからくる不適応
・学業不振などからくる不適応
・社会が迷惑を感じに非行といわれるもの。 ・他人に危害を加えたり迷惑はかけないが、自分の健康や徳性を害し健全な発達を防げる行為。 ・ノイローゼや心理的色彩の濃い身体的疾患など。
@ 精神薄弱
A 知能発達遅滞
B 優秀児(適応を欠く)
C 学業不振
D 特定の教科の不振
E 注意散漫
F 学習意欲欠如
G その他
@ 窃盗・強盗
A 恐喝
B 殺人・傷害
C 放火
D 性的非行
E 乱暴・けんか
F 家出・放浪
G 喫煙・飲酒
H 怠学
I その他
@ 緘黙・引っこみ思案
A 孤立
B 登校拒否
C なげやりな生活態度
D 家出
E 自殺
F 睡眠薬・覚せ剤乱用
G その他
@ 強迫神経症・恐怖症
A 転換ヒステリー
B 抑うつ神経症
C チック症
D 夜尿症
E 起立性調節障害
F 吃音
G 爪かみ・指しゃぶり
H 喘息・過呼吸症候群
I その他

(3) 欲求のしくみ

 不適応行動は子供の欲求が阻止され、それによって、不満、不安、劣等感などの不快な感情がうっ積し、適切な処置ができないときに起こる。
 このように考えると、問題行動を理解するには、子供の欲求をよく知り、必要な欲求を満たす配慮が大切になってくる。
 A・H・マスロー(アメリカの心理学者)は、人間の欲求を、図3のように、5つに分類し、低次の欲求が満たされた上で、順次・高次の欲求が表れるとしている。
 特に・児童生徒の場合、集団所属への欲求、承認の欲求が強く、これらの欲求が適度に満たされた後、自己実現への意欲にかられるものである。このような観点から、子供の欲求の内容とその水準を知り、適切な援助・指導を行う必要があろう。

図3

(4) 適応機制

 人は、生理的に、つねに自分の身体の状態を安定化し、一定のよりよい状態に保ち続けようという働きがある(ホメオスタシス=恒常性)。
 これと同じように、心理的にも、欲求が阻止されて、心の不安や緊張が生じると、できるだけ早く障害をのりこえ、心の安定を回復させようとする心の働きがでてくる。これが適応機制(防衛機制)である。
 子供の行動を観察していると、それぞれに適応するための(心の安定を回復するための)努力をしていることに気づく。その努力はどういう種類のものなのかをよく知り、それぞれに合った対処のしかたを心がけるべきであろう。
 なお、適応機制の主なものを次にあげる。

@ 葛藤・欲求不満状況を直接的でなく、代償的に解決しようとする機制(補償・同一視・合理化・昇華など)
A 緊張状況から逃避する機制(逃避・退行など)
B 本来の欲求そのものを意識的に認めないようにする機制(抑圧・反動形成など)
C 攻撃的な態度を示すことにより欲求不満を解決しようとする機制(直接的間接的攻撃)

(5) 問題行動の発見

@ 問題行動予測のあり方

 子供の問題行動を早期に発見し、早期に適切な指導をしていくことは、ひとりひとりの個性を伸ばしていく上から是非必要なことである。
 そこで、問題行動の発見の手がかりが要求さ


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