研究紀要40号 事例を通した教育相談のすすめ方 - 006/025page

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題行動発見のポイントではなかろうか。
 そして、「いつでも」・「どこでも」、「だれでも」が気軽に子供に接すること、これが、教育相談の基本でもあり、このことを日頃実践していくことが、子供の理解・援助につながっていくものであろう。

(6) 問題行動の診断

@ 診断の原則

 問題行動が早期に発見されたなら、早期に指導体制をつくり、子供の援助指導にうつらなければならない。そのためには、問題行動の正しい診断がなされることが必要になってくる。 問題行動の診断は、その子供についての全資料を通覧し、これを分析総合して当該問題についての一貫した客観的な所見をくだすことである。その内容には次のものが含まれよう。

(診断内容)
ア 現問題行動のは握(症状診断)
イ 原因の究明(原因診断)を問題発生のメカニズムの考察
ウ 予後の見通し

(診断内容)
ア 現問題行動のは握(症状診断)
イ 原因の究明(原因診断)を問題発生のメカニズムの考察
ウ 予後の見通し

A 診断の具体的なすすめ方と実践指導

ア 問題行動に関する資料を集める。
 ・発達的特徴(知能・学業の程度)
 ・身体的特徴(身体のつくり、病気)
 ・環境的特徴(生育歴、家庭環境、地域環境)
 ・性格的特徴(性格)
イ 資料を整理し、校内の関係者へ提示する。
ウ 関係者による事例協議会を開く。
 ・資料及び事実に基づいての意見交換をし診断内容について検討する(診断案作成)
 ・具体的指導方針案を作成する。
エ 全体会議による指導方針の決定をはかる。
オ 指導方針に基づき実践指導にあたる。
カ 資料収集→方針修正→実践指導をくりかえす。

 問題行動がでると、とかくその子供にレッテルをはって見がちだが、あくまでも、子供の伸びる可能性を信じ、暖かい援助の手をさしのべていきたいものである。

4 問題をもつ子供の指導

(1) 問題をもつ子供は特別な子供ではない。

 一口に問題のある子供といっても、その発生、特徴、背景はさまざまである。これらの要因から何が問題となるのかを明確にしておかないと、いたずらに子供に、レッテルをはることになってしまう。したがって、その行動が、だれにとって、いかなる観点で、何を基準にして、問題なのかを吟昧し、判断して行くことが必要であろう。

 それでは、問題をもつ子供といえば、どのような子供を思いうかべるだろうか。落ち着きがない、うそをつく、無口、乱暴する、みんなに相手にされないなどの不適応行動といわれるものまで問口を広げれば、多かれ少なかれ、どの子供も問題を持つと言える。

 問題をもつ子供は特別な子供ではない。この子供は、「指導してもだめだ」「手におえない」とその子供の問題の程度を、決めつけてしまうことは考えものである。どの子供も問題を内包しているという認識に立ち、けっして見捨てることなく、子供たちの自己確立と援助を、積極的にすすめようとする姿勢が、問題をもつ子供へのかかわり方の基本になろう。

(2) 反社会的な問題をもつ子供の指導

 反社会的な子供を、3の「問題をもつ子供の発見と診断」の表1で定義しているが、次のように、解釈することもできる。
 自分の欲求を満足させるために、社会的規範に対抗する方向で行動し、緊張を解消しようとして、社会の慣習や規則にそむき、期待された役割をはたさず、時には積極的に、秩序の破壊まで行うような子供である。
 具体的には、極端な乱暴、一般にいわれる非行等の行動をする子供を、考えることができる。

A 問題行動の事例から

 青年前期の中学生たちが、自我を確立する過程の中で示す、反抗や乱暴について考えてみたい。
 これは、精神的に離乳し、独立をとげていく


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