研究紀要40号 事例を通した教育相談のすすめ方 - 014/025page

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盾が顕著に表われ、家庭内において必要以上に緊張させ、自立心の芽生えを阻害していた。
 以上の要因、すなわち、情緒不安定と脳の器質障害の疑いとが重なり合い、かなりの多動性へと発展していたものと推察される。

(6) 指導方針

@ 遊戯療法により自由な自己表現をできるようにする。

 ア 自由な自己表現の活動を援助し、これを通して、自立と自信の感情を発展させる。
 イ エネルギーの方向をできるだけ集中する訓練をする。

A 親の養育態度を改善する。

ア 指示、命令、禁止をつとめてさけ、伸び伸びと活動させる。
イ 自由なふんい気の中で、本人との肉体的心理的触れ合いを深めていく。
ウ 筋を通し、一貫したしつけをしていく。

(7) 指導経過

家庭生活
遊戯療法
親の養育
子供の変容
【1】

【7】
11


1
○指示・命令・禁止がまだ続く。
・ 相談を受けてからは叱る回数がへってきた。
・ トイレを汚したり、いたずらをするとすぐ威圧的になってしまう。
・ 子供にはひとつの部屋を与えて遊ばせる。
○静的な遊びを好む。
・ 外にでたがらず、家の中で遊ぶことが多い。
・ 父と時々すもうをするようになる。
・ 失敗したり、悪いことをすると叱られるので時々ウソをつく。
○遊戯室での遊びに慣れてくる。
・ 遊びが偏り、パチンコに執着する。
・ 活動的な遊びには興味を示さない。
◎本人には自由気ままに思いきり遊ばせる。
【8】

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2


3
○今までの養育態度のまずさに気づく。
・ 何かまちがいを起こすと、すぐ本人のせいにするくせがぬけない。
・ 幼稚園の父兄参観のとき、みんなと一緒に行動しないので帰宅後本人をたたいてしまった。
・ 「自分の態度を変えないと子供はよくなっていかないんですね」ともらす。
○遊びが活発になる。
・ 自分が悪いことをしないのに叱られると反抗するようになる。
・ 集団生活の中では自分中心に活動する。
・ 外で遊ぶことが多くなってきた。
・ 時々物を投げることが目だつ。
○遊びが攻撃的になる。
・ トランポリンに興味を示し始める。
・ おもちゃを床に投げる、たたきつける動作が多くなる。
・ 四輪車を思いきり壁にぶつける。
◎攻撃的行動もできるだけ受容するようにする。
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【17】
4
○子供の行動を受容できるようになる。
・ しつけのあり方を真剣に考えはじめる。
・ 学校の用意は、時間の許すかぎり本人にさせている。
○伸び伸びと行動できるようになる。
・ 学校に行くことが楽しく、前よりもずっと明るくなってきた。
・ 学校のようすを、自分から話してくれる。
○感情表現が豊かになる。
・ 依然としてパチンコに興味を示す。当りに続けて3回入ったら「うわーすごーい」といって喜ぶ。
◎本人の感動場面を大事にしていく。
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【25】
5


6
○本人にも良さがあることに気づいてくる。
・ 本人が、洋服の着がえ、学校の用意など自分できるようになってきていることに気づいてきた。
・ 学校やデパートヘいってもおちついて行動していることに自信を深めてきた。
○身辺生活がきちんとできるようになる。
・ 洋服の着がえ、下着のとりかえなど自分で気づいてできるようになる。
・ 友が遊びにきたとき、おやつを分けてあげられるようになる。
・ 学校でも先生の話をよくきいている。
○後かたづけができるようになる。
・ 思いきり遊んだ後「歩くところがなくなっちゃったね。(T)と一緒にかたづけようか」と働ききかけたら「うん」と素直に応答してかたづけ始めた。
◎後かたづけは、初めは一緒に、その後自分ひとりでできるようにもっていく。
【26】

【31】
○禁止事項が少なくなり、本人のミスも許せるようになる。
・ 本人のできばえがわるくとも、努力して、前より少しでもよくできたことを称賛できるように
○友達がふえ、活発に活動するようになる。
・ 友達と外で活発に遊ぶようになる。
・ 盆踊りもみんなの輪の中に入
○遊びに集中できるようになる。
・ パチンコをやるのにも10個のうち何個当りに入るかなと考えて、遊ぶようになる。
・ 遊びにも連続性がでてくる。

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