研究紀要40号 事例を通した教育相談のすすめ方 - 015/025page

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家庭生活
遊戯療法
親の養育
子供の変容
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なった。
・ 夏休みには、本人と話し会い、手伝い、絵日記かきをやるようにもっていった。
っておどった。
・ 8月からうさぎのえさくれと食事の後かたづけをやるようになった。
◎本人の活動を認め励ましてあげる。
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月)
○自分のことはつとめて自分でさせるようにする。
・ 宿題、うさぎのえさくれなど本人が自分から実行するまで待つことにしている。
・ 遠足にいった時、後始末を手伝わないようにし、本人にさせるようにした。
○自分の係仕事に責任感が芽生えてくる。
・ 宿題は自分から必ずやるろうになる。
・ うさぎのえさくれを欠さず実行している。
・ 学校で悪いことをして叱られると悪かったな、という表情をする。
・ ハーモニカに興昧をもってきた。

○指示に素直に従えるようになる。
・ トランポリンを200回とぶまでに成長した。
・ ピアノ・ハーモニカに興昧を示し始めた。
・ (T)の指示にも素直に従えるようになる。
◎音楽に興昧を示し始めたので、これを通して情操面を豊かにしていく。

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月)
○禁止よりも静かな統制ができるようになる。
・ 時間割のそろえ方がおろそかになったとき「前の日にきちんとそろえておくと安心してねむれるね」と言えるようになった。
○生き物や物への愛情がでてくる。
・ 物を大切に扱うようになってきた。
・ うさぎはかわいがっている。
・ 勉強にも熱中できるようになってきた。
・ 父親に時々「チュ」と気軽に触れるようになり、心の緊張感が大分とれてきた。
○物への愛情がでてくる。
・ ドラエモンが好きで、そのおもちゃをとりだしてみては「かわいいー」といって抱いていた。
・ 本人がピアノ、(T)がハーモニカを担当し、いっしょに演奏するとうれしそうだった。
◎本人の言動に共感できるよう接する。

(8) 考 察

〈方針@について〉 遊戯療法

ア 禁止・命令等の制約をしないで接していくと、本人は、自由気ままに自己表現ができ、攻撃的行動へと進んでいった。しかし、欲求が満たされると、その行動から脱し、やがて、物への愛情が芽生えてくるまでに、感情が発達していった。
イ エネルギーの集中には、受容−激励−援助のステップがくり返された。この受容と激励が、承認感・満足感を得させ、意欲的な活動へと発展していった。本人に集中力がついてきたのも、このことが有効に働いているものと思われる。

〈方針Aについて〉 親の養育態度の改善

ア 親の禁止事項が少なくなってきたのは、面接を開始して7ヵ月後である。その頃から本人も集中力がついてきたようである。
イ 親が「親の態度が変わらないと子供も変わらない」と気づき始めた頃(面接14回目)から、本人と少しずつ触れ合うようになった。本人も精神が安定してき、身辺生活、仕事の遂行がきちんとできるまでに成長していった。
 子供の心理をやっとわかってきた段階(面接37回目)になると、親は静かな統制のしかたができるように変わってきた。1年後の親子関係診断テストでも、その変容ぶりは顕著であった。(母親は、準危険の拒否を険いて、全領域が安全地帯に変容。)

 以上、遊戯療法と親の教育態度の改善の二側面が、お互いに相補的関係を保ちながらすすめられてきたところに、本人が以前よりもましておちつきをとりもどす結果へとつながったものと思う。そのことによって、学習や仕事にも集中してとりくむことができるまでに成長していったものと推察される。

 親の態度が変容すれば子供も変容していく。その道は大変、忍耐を要する。5年かかってつくられたゆがみは、5年かかって治していく覚悟が必要であろう。今後さらに親の受容的態度と、励ましをもって子供に接していくことが大切であろう。


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