研究紀要40号 事例を通した教育相談のすすめ方 - 021/025page

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回数
母との面接とその活動
子供との面接とその活動
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護の先生へ電話をした。気持ちが明るくなってきているようだ。
・父のことは敬遠している。
◎本人の活動をできるだけ尊重していることは自立心を育てる上から大変のぞましいことである。
・起床は6時30分、就寝は10時である。
・買い物にも一人でいけるようになった。
◎規律正しい生活になってきていることは、精神の安定面から大変よい傾向である。くよくよ悩まず、決めたことを確実に実行していくことが身体面と精神面を強くしていくもとになっていることを話し、励ます。
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・身体的にも、精神的にも自信をもち気持ちがずっと明るくなってきた。
・一人でいろいろ実行することの不安がとれてきたようだ。
・生活は規則正しくやっている。
・今週は友人の方から電話をよこした。本人もうれしそうであった。「身体が何でもなく登校できる人はうらやましい」とぽつりもらした。
◎母親の養育態度の変容がみられるようになった。子供を一人にすること、子供のことは子供に決断させ、いやなことでもあえて体験させること、学校のことを口にしないこと、などの意味がわかってきたようだ。
・家の手伝いをすることが楽しくなってきた。
・散歩も欠かさず実行している。
・今週はバスにのる距離を長くしてみた。
D町−K町(5q)1回実行 成功
D町−M町(10q)1回実行 成功
D町−F駅(12q)1回実行 何とか成功
3回目はF駅へおりたときはふらふらした状態であった。5分間休憩し、再びD町へ戻った。帰りは何もなくのりきることができた。 ・母と一緒にD町からK市へ(53q)列車で遠乗りをしてみた。K市では買い物も気軽にできた。
◎この一週間、バス及び列車にのる訓練を実行してみて、成功したので自信を深めたようだ。本人は「努力ということの意味の深さを知りました。このことばが好きになりました。」と面接の中でもらした。
◎今後は、一人でD町からF市へいき、デパートで買い物ができること、食事ができることまで高めていきたいと約束した。


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◎母親より電話があり「おかげさまで、子供は3学期から毎日元気に登校しています。一人で行動できるようになったので、ほっといたしました。」とうれしさをかくしきれないお話であった。自立心が身についてき、肉体的にも精神的にも、健康をとりもどしたので終結とした。

(9) 考 察

〈方針@について〉 耐性強化の訓練。

ア 家庭での役割遂行では、仕事の内容を自分から決めてとりくんだことが良かった。面接4回目に、「手伝いをすることが楽しくなってきました。」と仕事に対する喜びを感じるまでに成長した。
イ 散歩の実施も飼っている犬がいたので意欲につながり、実践により体力づくりに役だった。
ウ ひとりでの留守番の練習は母親の協力と本人の努力により実行でき、ひとりで行動することへの自信がわいてきた。
エ バスにのる練習は段階的に距離をのばす方法を採用し成功するごとに本人には自信がつき、激励することによりさらに意欲がわいてきた。
 以上の訓練は、継続的な実践により耐性強化へとつながっていったものと推察される。

〈方針Aについて〉 不安感の除去。

 自律訓練簡便法の実施により一週間ごとに気持ちがおちつき、本人の実践から得た自信とあいまって、不安感も自然と消えていったようである。

〈方針Bについて〉 養育態度の改善。

 子供の独立心、自立心を養うことが今いかに必要であるかによく気づき、方針の内容を忠実に守ってきた。このことが、子供が一週間毎に自立の幅を広げていくのに有効に働いたものと思われる。

 以上、三つの点から考察してきたが、起立性調節障害の場合は、自律神経のバランスのくずれからくるものなので、本人には病気と思いこませず、自分で訓練することにより治せるんだという自信をうえつけることが大切であろう。この訓練の実行にあたっては、訓練の内容を段階的に増やしていくこと、さらに本人の意志を尊重しつつ、周囲の暖かい励ましと協力が必要であることは言うまでもないことである。


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