研究紀要第41号 学習指導の個別化 個を認める研究 - 003/044page

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じめ意図的,計画的に位置づけておき,その場で個を認める働きかけをする,ということである。
 例えば,

○ 子供の発表をよく聞いてやり,その発表を生かすようにする。内容が十分でない発表に対しては,適切なヒントを与えるなどして,正しい答えを導き出させ,成功感,成就感を味わわせた上で,賞賛したり励ましたりする。
○ 机間巡視の指導の中では,良い結果を取り上げて認めてやる。また,問題解決につまずいている子供,困難を感じている子供には,適切なヒントを与えて解決に導いてやり,その成果を認めてやる。
○ 個に応じて,やや程度の高い発問をし,教師との対話の中から正答を生み出させ,成功感,成就感を味わわせた上で,賞賛したり励ましたりする。
○ 内向的な子供に対しては,机間巡視の際,とくに語りかけるようにし,良い内容の答えが得られた場合は,賞賛してやり,発表の機会を与えるようにする。
○ 外向的な子供に対しては,きびしく指導する。
○ 子供の反応や活動の結果は,細かに観察し,努力の結果を認めてやる。

 このようにして,ただ単に,ほめたりしかったりするのではなくて,教師と子供との人間的なふれ合いの中で,どの子供にもまんべんなく意図的,計画的に,個を認める働きかけを継続してゆけば,これがきっかけとなって,子供の学習意欲は高まるであろうと考え,次の解決策を考えた。

研究主題の解決策

(1) 前提条件

@ 一人一人の子供の性格と学力とを把握し,個を生かすために,下記の資料を活用する。

・Y−G性格検査
・学力検査
・知能検査
・前学期の成績
・事前テストなど

A 授業の中で,子供の主体的な活動の時間をできるだけ多くとり,教師はその間個別指導に努める。

(2) 解決策

授業ごとに,あらかじめ3〜4人の子供を決めておき,その子供たちを授業の中で「認める」場を意図的,計画的に設定し,短時日のうちに,少なくとも1回は,どの子供も「認める」ようにする。
このことを,継続して行う。

 

W 研究計画

 この解決策の効果を判定するための計画は次のとおりである。

1.この解決策を,小学校の国語と算数の授業におろして,その効果を判定する。

研究協力校 国語1校
  算数 1校
研究協力員 各校 教諭2名

2.実験期問
 昭和55年9月上旬〜11月下旬
 この期間に,国語,算数ともに,3回の授業研究を実施し,個に応じた,教師の個を認める働きかけのあり方について研究し,その成果を,以後の授業に生かすようにする。
 なお,この授業研究は,観察の観点を明示した「2−1−2方式の授業研究」(福島県教育センター紀要第39号)によって行う。

3.一人一人の児童の性格と学力とを知るために,「個別指導資料(資料1)」を9月までに作成しこれを活用する。これは,個人ごとのY−G性格検査,学力検査,知能検査,前学期の成績等を記録したカードである。

4.実験期間中は,「個別指導記録表」(資料2)によって,個を認める働きかけを行った児童を記録してゆく。

5.解決策の効果(学習意欲の変容)は,次の@,A,Bを、いずれも実験前(9月上旬)と実験後(12月上旬)に実施し,前,後の結


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