研究紀要第41号 学習指導の個別化 個を認める研究 - 013/044page

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 この表から,このクラスでは,日ごろ比較的ノートづくりを考えている児童が多いことがわかり,そのため,大きな変化はみられない。

(3) 事前,事後の作文の内容の比較

 解決策の効果を判定する一方法として,「算数の学習について」という題で書かせた作文を比較してみる。これは,“あなたは,算数学習についてどう思っていますか。”という指示で,算数学習について日ごろ思っていることを自由に書かせたものである。事前と事後の作文を一人一人について検討してみると,全体としては,それほど著しい効果は認められないものの,数名の作文の中に,効果として評価できるものがうかがえる。ここでは,その4つの例を紹介するにとどめたい。

@ F児の例
〈事前〉
 算数は,ほかの教科よりはきらいだ。勉強をはじめるときにいやになる。前にならったことなどは,ときどき忘れるので復習をよくやりたいと、思う。
〈事後〉
 算数というと,いままでは「いやだー」と思っていたが,最近だんだん楽しいと、思うようになった。計算と図形が好きになってきた。また,問題が解けないときはいやだが,いっしょうけんめいやって,やっと解いたあとは気分がいい。

A Y児の例
〈事前〉
 算数は,にがてだからあんまりやりたくない。いつも朝おきると,「ああ,きょうは算数がある」と思うと,いやな気分になる。
〈事後〉
 このごろ,算数は,やさしくなってきた。先生の話もわかるようになってきたみたいだ。宿題は,ときどき忘れることもあるが,だいたいは,やってくる。家でも1時間から1時間30分は勉強している。成績も少しはあがったと思う。

B A児の例
〈事前〉
 前から算数は,めんどうくさくてきらいだ。特に計算問題がいちばんいやだ。好きな問題はめったにない。やろうと思っても,「ああやだ」ですぐやめてしまう。
〈事後〉
 算数は前は全くおもしろくなかった。最近になって,だんだん算数が好きになってきた。計算も楽にできるようになってきた。だけど,分数のたし算,ひき算がめんどうくさい。できることはできるんだけど。算数の問題は,できるといちばんうれしい。

C H児の例
〈事前〉
 私は,算数は科目の中ではあまり好きなほうではありません。問題を読んでも,ときどき意味がわからなくなるからです。わかっていても,はずれるとこまるので,手をあげないときがあります。
〈事後〉
 前は,算数はどちらかというと,きらいなほうでした。だけど,2学期が始まってからは,算数は,科目の中ではどちらかというと好きになりました。問題が解けたときは,うれしくて,そのときは好きになります。図を書いたりするのが好きになりました。

(4) 効果の判定

 ア,アンケートの結果からみて

 事前,事後のアンケート結果を,2×2分割表にしてみると,どの項目についても,縦が1,横が1の欄の数字が圧倒的に大きく,このクラスの児童は,日ごろ,算数の学習によく取り組んでいることがうかがわれる。したがって,事前,事後の結果に大きな変化は現れにくく,統計的に変化の見られたのは,5項目中わずかの1項目「C算数の勉強で,自分の考えを発表しますか」であった。

 しかし,この項目は,直接われわれの解決策と関連するものであり,この項目について変化が見られたということは,この実験期間中の教師のはたらきかけによって,それだけ児童が自分の考え


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