研究紀要第41号 学習指導の個別化 個を認める研究 - 016/044page
るところであろう。1時間の授業の中にいくつか考えられる高いヤマ場,低いヤマ場のそれぞれに,その高さに応じた児童を対応させ,そこで個を認める働きかけを行うことが考えられる。そして,ときには,特定の児童の個を認めるためのヤマ場を,授業の中に作ってやることも必要であろう。
このように,1時間の授業の中に,個を認めるヤマ場を考える,ということになれば,教師は,児童一人一人の実態を十分に把握し,さらに教材に十分精通していなければならないであろう。つまり,児童一人一人の実態を十分に把握し,教材に十分精通していないと,個を認める場の設定はできない,ということである。
われわれは,この研究を推進する中で,児童の実態の把握と教材研究の大切さを,改めて認識したのである。そして,それは,当然の帰結なのかもしれない。