研究紀要第41号 学習指導の個別化 個を認める研究 - 028/044page

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授業記録
1.観点1,A児に対するはたらきかけを中心にして

(略)

佐藤 そうだね。二人の性格を読みとると,もっと,権八らしく,藤六らしくできるかもしれないね。じゃ,この時間はね,二人がどんな人なのか,二人の性格について調べてみましょうね。
(学習のめあてを板書,児童はノート)
佐藤 きょうは,どのへんを読んで調べるのですか。
児童たち 第1景。
佐藤 そうですね。きのう,みんなにそこを読んでおくようにいっておきましたね。第1景,はい。読んできた人。
児童たち (多数挙手)
佐藤 はい,ようし。じゃあ,今日の勉強もよくできそうですね。さあ,よく読んでみんな考えてきたと思うんだけどねえ……。じゃあ,発表してもらうかな。最初,権八の方ね。どんな人だと,みんな,考えてきましたか。
児童たち (19名挙手)
佐藤 はい。A君はねえ。感想のとき,とってもいい感想を書いていたよ………。ねえ,A君,じゃあ,ちょっと発表してもらおうかな………。権八の性格だよ。
A 権八は,のこぎりを………,のこぎりを……。
佐藤 (Aに近づき,ノートを開かせて,指摘してやる。)
A 権八は……。(つっかえながら,発表するが,声が小さくてみんなに聞きとれない。)
佐藤 (Aから離れながら)A君はねえ,いつもはあんまりしゃべらないんだけどね,きょうは,よくしゃべったね。A君はね,………今,なんていったの,近くにいたから,先生には聞こえたけど,みんなには聞こえなかったようだよ。じゃ,もう一度言ってごらん。権八はどんな人。
A 権八は,よくばりな人。
佐藤 こんどは,みんな聞こえた。
児童たち はい。聞こえました。
佐藤 ね,はい。よくがんばって言えたね。権八は,よくばりなんだって。はい,じゃ,どんどん言って下さい。………(Aの発表を板書)他にありませんか。
児童たち (16名挙手)
佐藤 M君。
M
 権八はいばっている人です。
佐藤 うん,いばっている。(板書しながら,以下同じ)はい,他に。………Nさん。
N 欲のわるい人。
佐藤 ん?
N 欲のわるい人。
佐藤 欲のわるい人。なんだ,欲のわるい人って。
N ええと,欲ばりでもあるし,意地の悪い人。
佐藤 ああ,そう,欲ばりで意地が悪いのね。ああ,そうか。

(略)

2.観点2,B児に対するはたらきかけを中心にして

(略)

佐藤 では,最初の,二人で木を切っている場面で,藤六と権八の二人の性格を考えてみよう。木を切っているところって,せりふの何番まで。
児童たち 14番までです。
佐藤 14番までね。はい,ちょっと,黙読してみて。二人の性格を考えながら読んでいくんだよ。
児童たち (黙読,調べてノート)
佐藤 (机間巡視により4名に個別指導,その中に,Bも含まれる。)
佐藤 さあ,木を切っている場面でねえ,どのところから,この場面の中のどのせりふから,権八のこういう性格,藤六のこういう性格というのがわかったかな。はい,最初,権八を考えてみよう。権八のどのせりふから,あるいは,権八のどんな行動から,権八のどういう性格が読みとれるだろうか。
児童たち (挙手,最初5〜6名から15名に)
 だれに言ってもらうかなあ………。はい,今ね,Bさんの話をちょっと聞いてみたらね。と


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