研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用 - 009/029page
以上のように,問題行動の早期発見のためには,性格検査に加え,親子,友人関係の検査を組み合わせて問題要因を予測し,それは前図のどの不適応要因からくるのかを明らかにしながら,子供の内面の動きを具体的につかむことが大切になろう。
(3) テスト・バッテリーを編成しての解釈と活用のしかた
―学業不振児の発見と指導を中心に―
学校生活の中で,子供たちにとって最も深刻な問題は「勉強ができない」「授業がおもしろくない」といったことなどがあげられる。学校生活の大部分が授業で占められていることを考えると,当然のことであろう。学業のふるわない子供たちは,学校生活全般の中で,不適応を起こしやすくそこから多くの問題が生じることにもなりかねない。ここでは,学業不振の背景やその指導のあり方を探るために,図2のようなテスト・バッテリーを編成してみた。
図2 学業不振児発見のためのテスト・バッテリー@ 学業不振児の発見のために(知能検査と標準学力検査の活用)
表1 知能検査と標準学力検査結果表 昭和55年5月実施 G中学校1年
一般に学業不振は,学習能力(多く知能であらわす)に比して,学業成績が低い場合をさす。判断の基準として,標準学力検査の偏差値で50以下,指数で100以下で,知能検査の偏差値が40以上,指数で85以上に該当する場合 新成就値(新成就値=学力偏差値一知能対応学力偏差値)が一7以下の場合が考えられる。上の表1は,知能検査と標準学力検査の結果であるが,学業不振児の発見にあたって新成就値に注目したい。判断基準から一7以下にある者が該当し,これらをアンダーアチーバーと言い(十7以上はオーバーアチーバー)学業不振児の一群