研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用 - 010/029page
としてとらえることができる。表1からは,No.14,No20の子供が学業不振児に該当する。ここでは,No14を対象にして,学業不振の背景や指導のあり方を明らかにしたい。
○ 知能検査と標準学力検査からの解釈と診断
14の子供は知能偏差値は65であり,知能段階からみると5に位置し,知能レベルは上位にある。当然,学力水準も高いレベルが期待できるはずである。しかし,学力偏差値は平均51,段階でみると3に位置し上位ではない。一応,全国水準に到達していることは判明できる。ところが,新成就値は一10と低くアンダーアチーバーの一群に位置し,強い学業不振に陥っていると言える。次に,教科間の差異をみると,国語は4の段階で満足できるが,社会,数学,理科は3の段階にとどまっている。
国語以外の教科については,各教科の間題の難易度,誤答の分析や学級の得点傾向などをみながら,満足できる成績が得られなかった原因を追究する必要がある。もし,教科のある領域が学級全体として落ちこんでいる傾向にあれば,教師側にも責任があるので,指導法の反省をし,日常指導でこの点に力を入れる必要がある。A 学業生活のつまづきを明らかにするために(学習適応性検査(AAI)の活用)
図3 14のAAI診断プロフィール