研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用 - 012/029page
4.教育相談と心理検査
ひとりひとりの子供を多面的,総合的に理解する客観的,科学的な補助手段として,教育相談の中で,心理検査が必要であるということについては,前に述べたとおりである。
また,前述「学校における心理検査実施上の問題」から明らかなように,各学校で検査結果を,学級経営,H・R経営及び子供ひとりひとりの個人理解に,十分生かされていないことの理由の一つに,検査結果の活用の具体的なモデルが準備されていなかったということがあげられた。
そこで,ここでは,この点について,収集された資料の整理の仕方,学級経営,H・R 経営及び個人理解への検査結果の生かし方,検査結果の伝達にあたっての留意点等を中心に述べていきたい。
(1) 検査結果利用のための整理の仕方
@ 学級単位の結果一覧表
年度内に実施した検査の結果を表1のようにまとめ,問題となるところに記号などを付けて工夫をしておくと,いろいろと便利である。
表1 検査結果一覧表
年度 年 組 担任
こういった表を作ることによって次の点が可能になる。ア.学級全体及び子供ひとりひとりの知能・性格等の状況がよくわかる。
イ.幾種類かの検査の相互の関係が見れる。
ウ.集団(学校・学年・学級等)の特徴を知ることができ,その状況に応じて適切な指導を行うことができる。
エ.これを基にして,学級及び学年全体の平均値・標準偏差等が計算できる。
オ.毎年,同一検査を同一学年で同一時期に行えば,学年間の比較もできる。A 個人用結果整理表
小学校(6年間),中・高等学校(3年間)の各学校教育の中で実施する検査の個人用の結果整理表を作成しておくと便利である。子供に実施した検査から,何かを見い出そう,あるいは考えていこうとする時に,特に注意すべき所には赤でアンダーラインを引く等して,表2のような個人用の整理表を作成しておくと,相互関係の中で子供を理解することができる。この場合,検査の実施時期について,1年ないし場合によっては2〜5年のずれがあることも考えられるので,この点は十分に配慮しなければならない。
表2 人用結果整理表
氏名 (男・女)
○1年()組( 番)担任名( )
○2年()組( 番)担任名( )
○3年()組( 番)担任名( )
知能
検査名
( )( 実施)
SS=( )又はTQ=( )
学力検査
検査名( )( 実施)
結果