研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用 - 017/029page
○社会的不適応因子 { 客観性欠除(O) 協調性欠除(Co) ○活動性因子
○衝動性因子{ 攻撃性(Ag) { 活動性(G) ○内省性因子 { のんきさ(R) 思考性(T) ○主導性因子 { 支配性(A) 社会性(S) 中学生男子の登校拒否児について,平均プロフィールをえがき,これにプラス,マイナス1標準偏差の範囲を付してみたのが図2である。平均からプラス,マイナス1標準偏差の範囲が3〜4,5および3〜2,1におさまるものを摘出してみると,前者に属するものとして,T,N,Tの劣等感大,神経質,思考的外向の3特性が,後者に属するものとして,Ag,G,R,A,Sの非攻撃的,非活動的,のんきでない,服従的,社会的内向の5特性が表出している。
このことから,自信欠乏で小さなことにくよくよする割には,考え方が軽率で,決断力に欠け,人と一緒にはしゃぐことを好まず,自分から進んで目立つようなことをしたり,友達をつくることもないという性格特性をうかがうことができる。
A 高校生
高校生男子の登校拒否児について,中学生と同様にしてえがいたものが図3である。平均からプラス,マイナス1標準偏差の範囲が3〜45および3〜2,1におさまるものを摘出してみると,前者に属するものとして,T,Nの劣等感大,神経質の2特性が,後者に属するものとして,G,R,Sの非活動的,のんきでない,社会的内向の3特性が表出している。このことから,自信欠乏で小さなことにもくよくよとし,てきぱきと物事を解決していくことに困難を感じ,常にいらいらしながら,進んで友達をつくることが少ないという性格特性をうかがうことができる。
図3 高校生男子のプロフィール3 性格形成の背景にある親の養育態度
子供の性格形成は,その大部分が家庭,特に親の子供に対する態度に基づいて展開される親子関係を通してつくられるということは,多くの研究から明らかなところである。
ところで,親の養育態度を類型化する試みは,種々なされているぎ,その端緒となったのは,サイモンズ(Symonds,P.M1939)の研究である。彼は,保護一拒否,支配一服従という2つの軸を考え,それらの組み合わせも考えたが,実際の養育態度は,明確に分類できるものではなく,種々の型の混合しているものであるといってよい。
そこで,サイモンズの養育態度を基本に考え,品川不二郎等の研究も取り入れて図表化したものが図4である。
図4 親の養育態度と子供の性格特性登校拒否児の親子関係においては,特に母子間の心理的距離が近すぎて,密着化されてきている