研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用 - 021/029page

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家庭生活
遊戯療法
親の養育
子供の変容
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(@〜D)
○子供と遊ぶことが少ない。
  ・かかわるといやがるので一人で遊ばせておく。
○一人で勝手なことをして遊ぶ。
○新しいことば
「ゴミ」「ダンプ」「イヤ」(タイヤのこと)「フナ」(砂のこと)
○ありのままの姿を落ち着いたふんい気の中で受け入れる。
  ・おもちゃを次から次へと手に取るが落ち着かない。
・名前を呼ぶと左手を上げる。
・視線があわない。
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(E〜G)
○幼稚園人園が心配になる。
  ・トイレ・衣類の着脱に力を入れる。
○旅行を計画する。
  ・北海道旅行をする。
・海へ連れ出す。
○大便を失敗することが多い。
○車に興味がありミニカー遊びに熱中する。
○外で遊ぶが,自分の要求が通らないと「おうちかえる」と言う。
O新しいことば「ママ・ネンネ」
○共に遊びながらかかわりをもつようにする。
  ・刺激を与えないと,いつも好きなダンプカー遊びにもどる。
・新しいことば
「つみき」(積木)「おわり」(終わり)「ビーポー」
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(H〜J)
○外遊びをさせるようになり,取り組みに積極さがみられる。
  ・近所の子と遊ばせる。
・公園へ連れ出す。
○乗り物に興味がある。
○近所の子と一緒に遊べないが,一緒にいる時間が多くなる。
○公園で雨の歌を母と一緒にうたう。
○新しいことば「あめ」「ビチビチ」
○本人の言動にほほえみかけ,親密さを表現するようにする。
  ・興昧あるものに対しては,T(トレーナー)の表情を見る。
視線もあい一緒に遊ぶ(ブロック遊び)
・ダンブ遊びに取り組むと全く反応がなくなる。
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(K〜O)
○長男の交通事故で付き添いのため,本人を実家にあずける。
  ・病院に見舞いにこさせ,親子のきずなが継絶しないようにする。
○大便をもらして「ブブチJと教え,祖母をこまらせる。
○食事の仕方がへたである。こぽしたり,好きな物しか食べない。
○あつい,つめたいの感じがつかめる。
○新しいことば「トーテージ」(ソーセージ)「またね」
○動作と複雑なことばを使用しないように注意しながらことばかけをする。
  ・「あけて」「くつはいて」「なげて」のことばをオーム返しで言う。
・指示したり,要求したりすると意思のやりとりが可能になっている。
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(P〜S)
○長男の退院,本人を実家から連れもどす。かかわりを持つ時間がふえてくる。
  ・図鑑をみながらことばかけをする。
・本人の運動機能を確立するために,兄の事故後の機能訓練を一緒にさせる。
○母にあまえる態度がみられる。
○笑うことが多くみられる。
○母の化粧する姿をみてまねる。
O新しいことば「カット虫」(かぶと虫)「もっとやる」「いし」
○ダンプカーを意図的にかくし,興味の転換をはかる。
  ・電話遊びの中で「モシモシ」「いる」「はい」 「おばちゃん」などのことばが出る。
・Tが乗る三輪車の後押しをする。
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(S〜S)
○集団への参加を考え,入園手続きをとる。
  ・あいさつなどのことばを多くしている。
・ほめること,を多くしている。
○大便の失敗が少なくなっている。
○あいさつのことばがオーム返しで言える「おはよう)」「ありがとう)」「どうぞ」
○車遊びが中心で遊びに偏りがある。
○活動的な遊びをさそうようにする。
  ・トランボリンに夢中になりとびはねることをくり返す。笑顔がみられ楽しそうである。視線もあう。
・すべり台をTと競争しながらすべる。本気でがんばる。
・新しいことば「あぶない」「はねる」

(8) 考察

@ 母親に対しては,本人への良好なかかわり方を確立するために,心理検査を生かし親子関係診断テスト結果からの接近を試みた。
相談活動開始前は,つながらない親子関係であったが,途上での検査結果からは,厳格不安等の養育面が解消され,かかわり方に変容がみられる。一応,相談活動や心理検査の成果が認められつつあると言える。さらに考慮すべきことは,母親に本人の状態像をよく理解させ,共に歩むことができるように導いてやることが大事になると思われる。

A 遊戯療法によって,心理検査からの本人の問題行動の改善に努めている。感情表出や興味・関心の偏り是正のためには多くの効果が期待されつつある。しかし,自閉的な子供の


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