研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用 - 027/029page

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図1 子供の間題行動を理解するためのテスト・バッテリーとその結果
図1 子供の間題行動を理解するためのテスト・バッテリーとその結果

れないで養育されてきた。

B 集団の中において認められるということが少なく,学習意欲も育たず,無目的のまま学校不適応の状態にある。

 以上のことから,情緒的な安定が得られず自我を未熟なものにし,適切に防衛機能を果たすことができず,シンナー等乱用に陥ったものと考えられる。乱用の進み程度は,関連非行が見られ,反社会的要素を多く含む性格で,しかも吸引回数も多く,養育状況からも嗜癖型に移行する危険性を持つ非行促進型と思われる。

(6) 指導方針

@ カウンセリングを通し,自己洞察を図り,自我意識の甘さと性格の弱さを自覚させる。
A 自律訓練法により心を落ち着かせる。ラポート形成後,催眠療法を行いシンナー等に対し嫌悪感をうえつける。
B 母親の養育態度を改めさせ,子供の気持ちを理解させる。
C 担任を中心として,学校側の生徒理解,友人関係の調整及び部活動の指導等,適切な援助指導を行う。

(7) 指導経過

本人に対するカウンセリング
指導方針とのかかわり
母親に対するカウンセリング
指導方針とのかかわり
@

(初回)
○ 生活状況について話をきく。
  ・勉強はほとんどしない。
 1学期の赤点:英語・数学
・運動が好きで剣道部に所属してるが,2年になってからは練習はずっとサボっている
・週に1回の割で欠席
・就寝1:00ごろ。テレビを見たり友人と話をしたりする。
 (友人が泊まることがよくある。)
・たばこを吸う10本/日」程度(母親は黙認)
・シンナーを吸うと酒を飲んだように気分がいい。
・よく来所してくれたこと自分の悩みや不満について話す気持ちでいるならば.語ってくれるように約束する。
・家庭及ぴ学校生活の様子をきく中で,主訴についてふれる。
○ カウンセリングの中で明らかにされた問題点
・家庭の養育
・学校不適応
・友人関係
◎ 今後の取り組みの内容・自律訓練法を家でも実
○ 主訴内容についてきき出す。
  ・初回吸引:高校1年の夏休み
・現在:毎日吸引
・自室や友人のアパートで吸引(1人か有職少年数名)
・無断外泊,無免許バイク,喫煙,飲酒等で指導されたことがある。
○ 本人の生育歴について話をしてもらう。
  ・中学1年時に父親が死亡(交通事故)し,父親には特に可愛がられていたので,たいへんショックをうけた。
※親子関係診断テスト及びエゴ
・その都度確認,整理をして主訴を明確にする。
・どんな時にシンナーを吸引するのか,また,なぜシンナー吸引に陥ってしまったのかを考えさせる。
◎ 今後の指導方針の内容・養育の改善等


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