研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 001/049page

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T 研究の趣旨

 学校教育本来の目的を効果的に達成するためには,学校の組織・運営を適切に維持し展開させていくことが必要であって,学校経営の果たす機能的役割は,極めて大きいものがある。

 近年,教育の現場においても,学校経営に関する重要性の認識が深まり,教育目標,教育課程,組織・運営等を中心とした実践的な調査研究が進められて,学校経営の改善,充実に大きく貢献している。

 今回行われた教育課程基準の改善に関する答申の中でも,「教育課程の効果は,各学校における自発的,創造的な活動に期待するところが大きい。(中略)………学校経営の改善と教育の実際の場における指導方法の向上を図る必要がある。」と述べられており,学校運営改善の必要性が強調されている。また,ゆとりあるしかも充実した学校生活や創意を生かした教育活動の実現により,学校教育の質的転換を図ろうとしている新教育課程の趣旨からも,各学校の主体的な学校経営の確立が期待されているところである。

 昭和30年代から40年代にかけて,一般経営学の隆盛と相まって学校経営に関することがらがクローズアップされ,独自の研究領域として大きな関心が寄せられるようになってきた。特に,伊藤和衛氏を中心とする学校経営近代化論にも見られるように,学校の組織・運営の合理化,民主化の問題に目が向けられ研究が進んだことは,経営活動の科学化・効率化の面に大きく寄与したものであるといってよい。しかし同時に,一般経営学から得た成果をもとに,学校経営にせまろうとする姿勢からいえば,学校教育の目的や,比較的小さな組織で校務を分担している学校の実状には,適応されない面が生じたことも事実である。

 このことが,学校教育の特殊性や学校経営体の特質に改めて検討の光をあて,再吟味しようとする独自の学校経営現代化論へと発展した経過を知ることができる。教育現場においてもこのような動きにこたえて,学校経営の改善,充実のために教育目標と教育活動,または,経営活動のあり方について実践的な研究が進んでいるところではある。しかしまだ,十分な成果や結論等を得るまでには,なお,時間を必要としているのが現状であると思われる。新教育課程の実施を迎えるに当たって,学校経営のあり方を問い直し,経営の質的改善を図ろうとする試みがなされていることは,意義のあることである。

 さて,教育の現場では,学校経営を計画−実施−評価の円環的な経営過程としてとらえるマネージメント・サイクルの考え方についての理解が深まり,実践的な調査研究の試みがはじまっている。殊に,計画の過程についての各学校の実践は積極的であり,学校教育の向上に実質的な役割を果たしている。だが,教育計画,経営計画等の計画立案の過程に比べて,それらの諸計画を活用したり,実施状況を反省・評価して次年度の計画改善に反映させる等の実施−評価の過程は,十分な取り組みがなされているとはいえず,まだ検討の余地が残されているようである。

 教育課程について考えてみても,教育課程を編成する時期には,全職員が組織的に全精力を傾注して,学校教育の総合計画を作成するが,その実施−評価の過程ではどうであろうか。年間指導計画への関心や活用の度合い,学校行事への創意工夫やマンネリ化の問題など,作成時の努力や意気込みに比べると,実施・展開面では惰性に流されてしまう傾向もしばしば見受けられるところである。また,年度末の反省が不満を述べるだけの機会として用いられたり,行事日程や時間に制約されて質的な討議がなされないまま形式的な反省会に終始したりするなど,問題点があるように思わ


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