研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 003/049page

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いてもまとめた。そして,その実態調査から経営評価にかかわる問題を分析,整理した結果,各学校で行われてきた経営評価の類型や評価項目をはじめとして,客観性のある評価尺度に対する要望等,学校経営評価に関する18項目の要点を集約することができた。さらに,これらの要点を統合するものとして,最終的に次の二つの課題がはっきりした。

○ 自校化できる学校経営評価の基本的構想または,原型としての評価試案の作成が要望されている。
○ 学校経営のための客観性のある評価用具の開発が望まれている。

 これらの一連の課題の整理をとおして当教育センターは,学校経営の改善に役立ち,教育現場の主体的な経営評価に活用される実用的な学校経営評価票の開発が必要であるという課題意識をもち,研究の方向を見さだめた。

 当教育センターでは,課題の解決を図るべく,第一年次にまとめた研究紀要の調査研究の結果と県下各地区からの研究協力校の協力によって得た資料をもとに,現代化をめざす学校経営評価試案の調査研究に取り組むことにした。第二年次は,評価試案(原案)の開発及び研究校での試行,第三年次は,試行後の調査,考察と評価試案(原案)修正による「学校経営評価試案」の作成という研究手順により,現場の各学校に活用される評価用具の開発につとめてきたところである。

 ところで,学校経営に関する評価は,いわゆる「学校評価」の内容として扱われる例が多く,その限りにおいては,教育評価と経営評価の両者を含むとする考え方が一般的である。学校経営現代化の観点から考えれば,経営活動の評価に片寄らず,教育活動の効果を測定しようとする教育評価が学校評価に含まることは当然としても,児童生徒の学習活動を測定する教育評価の実際は,各学校の教育目標や児童の学習状況の実態により独自性が強く,その基準を設定することは難しいという条件がある。そこで,この研究では,児童生徒が教育活動をとおして,獲得する教育目標の達成状況や学習の到達状況などを測定する教育評価については主題からはずし,教師の教育活動を見る意味での教育評価と,その教育活動を支援促進するための経営活動を経営評価研究の範囲として取り扱うことにした。先に行った県下の経営評価の実態調査でも,学習の到達状況を測定する教育評価は,各学校それぞれに工夫をこらして評価活動を実践している結果が明らかにされているので,それぞれの学校の主体的な教育評価に期待すべきであると判断した。

 学校経営評価に関する調査研究の主たるねらいは,学校教育の現代化にそった学校経営改善をめざすことにあり,具体的には「学校経営評価票」を開発して,これを現場の各学校に提供することにある。しかし,評価票だけでは活用の際に不安が残ることも予想される。そこで,現場の各学校が活用しやすいように,学校経営評価の基本的事項,評価試案の実施方法,研究協力校による調査結果などもあわせて究明し,その成果や具体的な資料も紹介するなどして,各学校における経営評価の実践,活用に役立つための配慮をした。

 なお,巻末に「経営評価試案」の評価票及び集計票を掲載したが,そのままでもコピー等によってすぐ活用できるようにと,実用面も考慮したものである。県下各学校の主体的態度による自校化が期待されるところである。


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