研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 005/049page

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ある。この目標系列の機能は,学校教育本来の目的を達成するための教育的機能である。

 また,もう一つの系列は,目標系列に属する教育活動が効果的に機能するように支援促進させる経営の四要素にかかわる系列である。教員(人−men),施設・設備や教材・教具(物−materials),予算(財−money),それに,この三つを組織的に運営するマネージメント(運営−management)の4Mの条件整備と操作に関する系列であり,一般に条件系列としておさえられている。この条件系列の機能は,目標系列を支え,学校の組織・運営を維持発展させるための経営的機能である。

 本研究では,学校経営における本質的な機能を「目標系列」と「条件系列」とにおさえたが,これは,この二つの系列が対立する概念としてとらえることを目的としたのではなく,教育活動と経営活動を統合的に把握することを前提とした上で,学校経営の機能や領域を構造的におさえようとしたためである。二つの系列を相互の関連においてとらえることが,動態的な経営をとおした学校教育の現代化につながるものであることと説明されている点に留意し,理解を深めたいものである。

 原 実氏は,学校経営の概念化の中で,二系列の関連を図式化し,表1のようにまとめている。

表1 学校経営の概念化(ニ系列の関連)
表1

(3) 学校経営評価のねらい

 学校経営の評価は,教育組織体としての学校が経営改善のために行うことを最終の目的としている。したがって,評価の結果そのものがすぐさま価値判断の対象になったり,価値判断のみにそこでとどまったりするものではなく,評価の過程や結果として得られた評価資料が,次期の学校経営の策定と直接結びついて効果を発揮するところに,評価本来の意義があることを全職員が理解しなければならない。

 具体的には,学校が教育の理想として掲げた内容を,どの程度達成したかを評価計画によって測ることにより,評価の過程をとおして様々の反省・改善事項が得られるであろうが,これらのうちいくつかは廃止事項として処理されるであろうし,いくつかは次年度において継続的に用いられ,また,改善される形で生かされるものもあるだろう。

 評価はこのように学校経営を望ましい姿に維持・改善を図るための,貴重な契機を与えるものである。したがって,そのための評価では,学校教育が行われる領域全般にわたって,できるだけ抱括的になされる必要があるし,また,評価の実際では,評価に客観性のあることが重要な条件となる。

 先に述べた学校経営概念や学校経営の構造的な考え方を基盤とすると,学校経営評価の意義は,次のようにまとめることができるであろう。「学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活動及びそれを支援促進する経営活動が,教育の効果をあげるにふさわしく機能しているか,その状況を総合的・客観的に評価し,学校経営の改善を図ること。」

(4) 学校経営評価の計画と対象

 学校経営評価がその機能を生かして期待した効果をおさめるためには,総合的な評価ができるように配慮することが大切である。
 学校経営が,計画−実施−評価と円環的に把握される中で,評価もまたその流れにそってそ


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